近年のアウトドアムーブメントにより、街でもアウトドアアイテムをファッションに取り入れる人をよく見かけるようになりました。より快適に過ごせる機能性が多くの人に受け入れられ、あっという間に広まった印象です。特に「ザ・ノース・フェイス」は本格的なアウトドアブランドながら、近年タウンユースで爆発的な人気を得ています。
しかし、アウトドアは山やキャンプだけはありません。1958年に創業して以来、世界のフィッシングシーンをリードしてきた“釣りのダイワ”が先日、一般消費者向けのファッションショー&2020年春夏の新作展示会を開催しました。ダイワ=アパレルのイメージがある人は少ないかもしれませんが、以前より釣り用のウエアを中心に展開はしていました。近年は、釣りの時でも日常でも着られる汎用性の高い商品展開を進めていて、そして今回、よりタウンユースで使えるデザインに生まれ変わりました。釣り具で有名なダイワがアパレルに力を入れる理由は何なのか。そこには第2のザ・ノース・フェイスへのヒントが隠されていました。
■釣りの楽しさをアパレルでもっと身近に
——釣りの「ダイワ」が本格的なアパレル分野に進出しようと思った狙いはどこにあるんでしょうか。
佐藤さん フィッシングは水に近く、夏場は直射日光もキツいハードなアウトドアアクティビティです。そんな現場で培われた技術や知識をタウンユースできるデザインに落とし込み、機能性とアーバンな雰囲気を兼ね備えた高機能アイテムとしてアップデートしました。フィッシング自体は趣味としてメジャーですが、実際は中々ハードルが高かったりします。そこで、入り口をアパレルにすることで身近に感じてもらい、より多くの人がフィッシングに関心を持っていただけるようにしました。
——アパレルにフィッシングの要素が加わると、どういう利点があるのでしょうか。
佐藤さん フィッシングシーンでの最重要課題は“水”にどう対処するか。今回のラインナップにもあるんですが、“ジャガード織り”という特殊な製法で作られたジャケットがあります。通常のレインウエアでは、縫製の後にシームテープを施して防水性を高めます。しかしジャガード織りは、同じ素材の中で柄の表現や密度を調整して強度を上げたりできる織り方です。つまり縫製箇所を最小限にできるので、十分な強度と防水性を得られ、さらに着心地も快適にできました。これは常に水と対峙している我々だからこそできたものだと自負しています。
■新たにウィメンズラインを追加
——ダイワアパレルが今後注目している分野や、新たな試みなどはありますか。
佐藤さん フィッシングの男女比は、男性が圧倒的です。ところが、神奈川県の三崎港で開催される女性だけのカワハギ釣り大会には、約200名の女性が参加して盛り上がりをみせていました。でも実はフィッシングウエアにはレディースがほとんどなく、メンズのSサイズを仕方なく着る、という人も少なくありません。そこで今回は、女性のラインに合うように設計したのはもちろん、カップルがお揃いで着られるユニセックスなアイテムも新たに追加しました。
——あらためて見渡すと、フィッシングブランドだということを忘れそうです。これらの全てに何かしらの機能性が備わっているということでしょうか。
佐藤さん 近年の猛暑対策にはメッシュTシャツやUVカット素材のジャケットがオススメですし、デング熱を引き起こす可能性のある蚊から身体を守る防蚊服もあります。フィッシングをはじめ、スポーツやフェス、登山やキャンプ、そしてタウンユースと、ありとあらゆるシーンに相応しいアイテムが揃っていますので、その快適性をぜひ実感していただければと思っています。
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ダイワから生み出された最新のアパレルは、外遊びや普段のお出かけがより楽しく過ごせる機能性とデザインに仕上がっていました。“山”出身の「ザ・ノース・フェイス」が街を席巻している中、“海”出身の「ダイワ」がこれからどのように世間に広がっていくか注目です。
>> ダイワ
(取材・文/K・タニヤマ)
- Original:https://www.goodspress.jp/columns/274924/
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