日本と同じように医療費が財政を圧迫するイギリスの一部で、地域医療の最適化に貢献しそうなシステムが導入されようとしている。ヘルステック「Babylon」は、イギリスの都市ウルヴァーハンプトンと10年間の契約を結び、市民30万人に対して「デジタルファーストな統合ケア」を提供すると発表した。
同社はNHS(イギリス国民保健サービス)とも綿密に協力しており、最高経営責任者の David Loughton氏は“患者にとってよいことはNHSの恩恵につながる”との考えをプレスリリースにて表明している。
・診療予約や診断記録の管理がアプリから
Babylonが提供するサービスでは、同社開発のアプリとAIプラットフォームを介して、医療サービスの利用を最適化する。具体的には、ユーザーが診療予約を管理できたり、個別診療記録や医療情報を参照できたりするようだ。
ユーザーの既往歴やライフスタイルなどからヘルスレポートやアドバイスも作成される。また、慢性疾患を患うユーザーには、パーソナライズされたケアプランも作成され、このあたりはAIアシスタントが貢献してくれるのだろう。
・リアルタイムモニタリングして迅速な対応
ウェアラブルデバイスなどにより、ユーザーの状況がリアルタイムモニタリングされるので、イレギュラーを検知した際の即対応が可能になる。遠隔診療でアドバイスを受けることができれば、1分の診療のために病院に出向く時間/手間が省かれ、医療機関にとっても効率よく診療が進むだろう。
こうしたデジタルファーストな統合ケアを実現するために、Babylonには1000人以上のAI/医療の専門家が在籍しているとのこと。診療はBabylon在籍の医療専門家か、もしくは地域の医療機関が受け持つことになる。
Babylonのサービスは、既存の医療を補完するものとして提供され、物理世界の診療でのさまざまなムダを吸収してくれそうだ。さらにはAIアシスタントなどによる市民のエンパワーメントが健康増進につながり、予防医療の推進にも期待がかかる。
- Original:https://techable.jp/archives/115711
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji