タクティカルライトの定義はかなり難しい。最もストイックなのはSUREFIRE「6PX TACTICAL」に代表されるシングルモードのライトですが、そのレベルのストイックさを求めるのは警察系の特殊部隊かマニア程度。一般の警察官の現場ではLOWモードも多用するようです。SUREFIREはストロボモードを重要視しませんが、STREAMLIGHTなどでは重要視しています。また充電池の使用、その運用の問題から、ライト本体に充電機能を備えたモデルの方が人気が高い。マニアの好みや意見とは反する状況が伺い知れます。
そうした「実際の現場の声」を反映させているのが、NITECORE「P22R」です。前作は「R25」、その前は「P22」と、順次ブラッシュアップされている一連のシリーズです。
搭載LEDは最近の流行を抑えたCREE XHP35 HD。1800ルーメンの明るさを発揮します。ヘッド直径はSUREFIRE「6」や「6PX」と同じ。NITECOREのシリーズには、この直径のライトはP20系しかないので、これは意図的なものですね。「6PX」に使用可能なフィルターやワンド類は、ほとんど「P22R」にも転用可能です。
リフレクターが浅く、底部のLEDの周囲にスペースがあるので、広い周辺光とくっきりとした中心光が発生する配光になります。死角を減らしつつ、中心照度の高さで圧倒したいというのはタクティカルライトの目指すところで、オーソドックスな選択という感じがします。
ヘッドではなくテールに充電ポートを備えていて、電池を取り出すことなく充電が可能。ポートは回転式のカバーで覆われています。この関係でボディやテールがゴツく感じられ、当初21700電池搭載機種かと勘違いしました(笑)。MHシリーズなどにすでに充電式が存在するのにP20系での搭載が遅れたのは、microUSBの耐久性やデュアルスイッチを搭載する特性に加え、専用充電池を使用することを嫌ったからではないかと思います。
特徴的なデュアルスイッチ。KLARUSにも採用されていますね。「P22R」ではデザインの洗練が進み、言われなければわからないようなデザインになりました。基本的な操作は各社とも共通していて、メインスイッチで点灯し、モードスイッチをクリックするたびにモードが変わる。長押しでストロボ発動、という設定が多くなっています。
このデュアルスイッチを活かすため、「P22R」には3つのモードが存在します。特殊部隊チックにストイックなタクティカルモード、一般的な現場警官がしやすいロー・エンフォースメントモード、より多段階の明るさを操れるデイリーモード。切り替えることでライトの性格を変えられます。長くなるので説明は割愛しますが、個人的にはロー・エンフォースメントモードが使いやすい感じがしていいですね。
ボディはNITECOREにしては珍しいデザイン。NEW P12ににも採用されていて、新しいPシリーズにはこれが共通で採用されるのかな? この溝の部分にクリップを装着できるほか、NTR10という別売パーツを装着することで、ハンドリングを向上させられます。ちょっと気になるパーツですよね。
タクティカルライトのデファクトスタンダードであるSUREFIRE「6PX」を踏まえ、タクティカルライトの実用性をシビアに突き詰めたライトですね。配光、ストロボ、充電機能、拡張性。豊富なアクセサリーも使用可能。「6PX」が機能を削ぎ落とすことで究極を目指したライトだとすると、「P22R」は必要とされる機能を盛り込むことで究極を目指したライトと言えます。汎用性が高く、一般のユーザーや向上などの業務ユーザーにとっても使い勝手のいいライトかと思います。(アカリセンター価格:1万2720円)
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(文・写真/アカリセンター)
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/275016/
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