ビデオ広告会社Eyeviewは昨年12月に倒産したが、Aki Technologiesによる買収のおかげでテクノロジーは存続することになる。AkiのCEOであるScott Swanson(スコット・スワンソン)氏は、消費者がオンラインのあちこちでパーソナライゼーションを目にするようになり、今後は広告パーソナライゼーションが急成長すると予想している、と筆者に語った。
スワンソン氏は、Eyeviewのテクノロジーが抜きん出ていると主張する。ビデオにフォーカスし「何百万ものビデオ置換えができ、クラウドに保存もできるから」だ。Akiの既存のプラットフォームと組み合わせることでさらに使い勝手がよくなる。Akiのプラットフォームでは、視聴者が家でくつろいでいるのか用事をしているのかといった「モバイルモーメント」向けのターゲット広告を展開している。
加えて、今回の買収でAkiはモバイル広告だけでなく、デスクトップとコネクテッドTVにもサービスを広げられる。
ディールの詳細は非公表だが、スワンソン氏はテクノロジーの買収に加えてEyeviewの旧クライアント引き込みやEyeviewチームメンバーの雇用にも取り組んでいると語った(これまでのところ15人ほどを採用し、20人を目標にしている)。同時に、スワンソン氏は操業を停止した事業の復活には課題があることも認識している。
「テクノロジーそのものは『退役』となり、撤去され、クラウドにバックアップがとられた」とスワンソン氏は述べた。「買収プロセスが進めば、我々は文字通りコードベースを取り出し、クラウドで再立ち上げする。雇用することは極めて重要だ。なぜならこれは顧客やスタッフを引き継ぐという従来型の買収ではないからだ。我々はそれぞれの顧客に電話をかけ、スタッフを1人ずつ雇用しなければならない」。
Eyeviewは資金を使い果たして従業員約100人を解雇する前に8000万ドル(約87億円)近くを調達していた。一方のAkiは2016年にシードラウンドで375万ドル(約4億円)調達しただけだ。以来、Akiは組織的に成長した、とスワンソン氏は話した。Eyeview倒産のニュースが飛び込んできたのは、デジタルメディアのベテラン、Rob Deichert(ロブ・ダイカート)氏のCEO就任から数カ月後のことだ。
「Eyeviewの事業を停止しなければならなかったのは残念だったが、技術的な資産がAkiで使われることになり嬉しく思っている」とダイカート氏は電子メールで語った。「Akiのビジネスはテクノロジーに倫理的にフィットする」
Eyeviewの不運にもかかわらず、Eyeviewがまだ独立した事業として機能すると自信を持っている、とスワンソン氏は話した。「多くの顧客が結果に満足する事業を展開してきた。そうした客は操業停止になったときがっかりしたようだ」
「選択肢がありすぎる」と広告主が疲れ、「大々的に宣伝する意欲」を失くしているのがアドテック業界全体で見られる問題だとスワンソン氏は指摘する。
「収益をあげ、もう少しテックが使えるようになるために効率的に事業を運営できる企業が主流になる」
画像クレジット: Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)