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アフリカ系米国人向けチャンネル「BET Networks」の元CEOが有色人種女性を支援するファンド立ち上げを示唆

米国のアフリカ系米国人を対象とするテレビチャンネルであるBET Networks(ブラック・エンターテイメント・テレビジョン・ネットワークス)に30年以上在籍したDebra Lee(デブラ・リー)氏は2018年5月、Viacomケーブルネットワーク内の一連の再編の後に会長兼CEOを辞任した。

黒人女性のための最初のケーブルテレビネットワークであるBET Her立ち上げや、それに関連する招待者限定の年次女性会議であるLeading Women Definedの監督にも関わった同氏が、辞任後に公の場から姿を消すことはなかった。それどころか、彼女はすべての女性、特に有色人種の女性に関して積極的かつ率直に意見を述べ擁護してきた。同氏は1月29日、カリフォルニア州パサデナで開催されたUpfront Summitに登場し、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)が先週発表した新しいIPOダイバーシティイニシアチブへの支持を表明した。テック業界の有色人種の女性を支援する新しい投資ファンド立ち上げについても示唆した。

リー氏は最初にJulia Boorstin(ジュリア・ブールスティン)記者から、公開会社を監督する取締役会に女性を含めることを義務化したカリフォルニア州の法律について質問を受けた。2018年後半に成立したこの法律は他の多くの州に広がりをみせ、同様の義務が検討されているようだ。またブールスティン氏は、先週ダボスでゴールドマンサックスが「7月から、少なくとも1人の多様性をもたらす取締役候補がいない限り、企業の上場を支援しない。特に女性を念頭に置いている」と発表したことについても質問した。

想像するより影響は大きいかもしれない。Bloomberg Lawによる分析によれば、ゴールドマンサックスの方針が2019年に実施されていれば、18件の米国のIPOに関して受け取った手数料1億100万ドル(約110億円)を失っていた。これは、同社が昨年米国で引き受けた59件のIPOで獲得した手数料3億1868万ドル(約346億円)の約3分の1だ。

「これについては長い間議論されてきたから、なぜ同社がそう決めたのか理解できる」とリー氏は答えた。「いずれの施策も良いことだと思う。企業が自ら実行することはないからだ」と同氏は述べた。「30年前から議論されてきた。女性や有色人種が取締役会にいない会社は、本当に恥ずべきことだと思わなければならない。だが、まだたくさんある。カリフォルニア州やゴールドマンサックスのような施策を実行しなければならないのは残念だが、企業に対しては強く臨まなければならない」。

「取締役会に多様性を持たせることは、一部の人が認める以上に大きな影響を及ぼし得る」。取締役会が企業の方針に与える波及効果について質問され、リー氏はそう答えた。同氏は最初にTime’s Upという組織で自身が携わった仕事に言及し「Time’s Upが調査していた嫌がらせ、復讐、報復、ハラスメントを受ける女性などの問題は、意思決定層に女性がいる場合には起こりえない。スタジオの経営幹部に女性がいれば『キャスティングカウチ』(性行為と引き換えに役を与えること)を使うことはない。男性が権力にまかせて何でも好きなことできる場合に比べれば使われることは少ないはずだ」と語った。

リー氏はまた「取締役会に多様な人々がいれば、彼らが企業に説明責任を負わせる。私は唯一の黒人女性として役員室に座るつもりはないし、なぜ他に黒人女性がいないのか、他の有色人種がいないのかを尋ねるような状況に身をおくつもりもない」と強調した。

リー氏はTwitter(ツイッター)の取締役会で3年を過ごし、数年前にEastman Kodak(イーストマンコダック)の取締役も務めた。同氏は両社の指名委員会で、欠員の出た取締役を選ぶ際、多様な候補者が載っている候補者名簿が見たいと発言してきた。実際同氏は「Twitterと契約をしたがっていたサーチファームは雇わなかった。黒人のCEOはいないと言ったからだ。『(Amexの元CEOである)Ken Chenault(ケン・シュノー)を知らないの?(MerckのCEOである)Ken Frazier(ケン・フレイザー)は?』私はパッと思いついた名前を言っただけだ」。

「取締役会に1人か2人入れば、会社にもっと圧力をかけることができる」とリー氏は続けた。「発生した問題がきちんと平等に扱われるようにする。差別やハラスメントに関する訴訟の場合は、問題がうやむやにされないようにする。取締役会は本当に重要だ。戦略や財務などを監督するだけでなく、後継者選びも監督する。取締役会でいつも尋ねる質問の1つは「次のCEO候補はどんな人か。候補者に女性はいるのか。有色人種はどうか。候補者が誰でどんな経歴なのか説明しなければならないから、必然的に候補者の一覧は多様になる」。

リー氏は年次会議についても話した。会議には著名な有色人種の女性が招待され「ハイチで起こっていることから、有権者を投票に駆り出すこと、高齢者のケア、個人の財政、黒人の男の子をどう育てるかまで」が話題になる。Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏も2回出席した。

リー氏は、「重要なことは、お互いを知っている女性をペアにし、彼女達に別の女性を推薦してもらうことだ。そうすることで年次会議が『私が思っていたよりもはるかに重要なもの』に変わった」と指摘した。

それがリー氏の次の行動のエネルギーになるかもしれない。「2、3のビジネスが会議から生まれた」と指摘し、同氏と力強い友人たちが現在、テクノロジー分野の有色人種の女性を支援するファンド創設について検討していると示唆した。

間違いなくそうしたファンドが必要だ。昨年、米国のベンチャーファンドは女性が創業したスタートアップにかつてないほど資金を投入したが、全体からすればほんの一部にすぎない。金額にして33億ドル(約3600億円)、米国のスタートアップエコシステム全体に投資された資金の2.8%だ。有色人種の女性が調達したのは、その小さな割合のそのまた小さい割合にすぎない。

1月29日のイベントで主に投資家から構成される聴衆を前に、ブールスティン氏はステージ上でリー氏と冗談を交わした。「もしファンドを創設するなら、ここに何人かLPの候補がいるわ」。

「それはいいわね」とリーは言った。「もし皆さんの中で誰かご存知なら」。

画像クレジット: J. Countess/WireImage / Getty Images

参考:「スタートアップ上場支援は取締役会の多様性が条件」とゴールドマンサックスが表明

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(翻訳:Mizoguchi

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