2015年より開催され、例年、世界中から6000社以上がエントリーするスタートアップのコンテスト、Extreme Tech Challenge(XTC)。
XTCの目的は、国連サミットで採択された、17の持続可能な開発目標(SDGs)と連携し、地球と人類とが直面している最大の課題をテクノロジーで解決するスタートアップを発掘し、支援すること。 Lynq、Elevian、Doctor on Demand、Wanderu、Cresilon、Bloomlifeを含む過去の出場企業の累計調達額は440億円にもおよぶ。
XTCの7つの審査カテゴリは、SDGs17課題を集約した7カテゴリーだ。それらは、「AGTECH、FOOD & WATER」、「CLEANTECH & ENERGY」、「EDUCATION」、「ENABLING TECHNOLOGIES」、「FINTECH」、「HEALTHCARE」、そして「TRANSPORT & SMART CITIES」。
今年は、6月にパリで開催される決勝戦に向け、日本で予選、JAPAN COMPETITION 2020が開催される。2月26日にNagatacho GRiDで開催される日本予選では、書類審査を突破した10社のスタートアップが、日本代表として決勝に進むことのできる、2枠のシード権を巡って争う。シード権を獲得した2社は、パリで開催されるVivaTechnologyのメインステージでピッチを披露することになる。
本日、そんなXTCの日本予選に出場する10社のスタートアップが発表された。
- AXELSPACE(アクセルスペース):超小型衛星等を活用したソリューションを提案。
- AmicaTerra(アミカテラ):高コストのバイオプラスチックに代わる植物100%原料を製品化。
- inaho(イナホ):ロボットを農家へ貸出し、収穫高に応じて利用料を得るビジネスモデル「RaaS(Robot as a Service)」を活用した、次世代農業パートナーシップを構築。
- instalimb(インスタリム):3D-CAD、3Dプリンティングおよび機械学習の技術を活用した、低価格、高品質な3Dプリント義肢装具を制作。
- Epistra(エピストラ):生命科学実験における試料調製や前処理、測定機器設定などの自動最適化サービスを展開。
- Global Mobility Service(グローバルモビリティサービス):働く意欲のある貧困、低所得層が自動車ローンを利用できる機会を、金融包摂型FinTechサービスにより創出。
- Challenergy(チャレナジー):台風のような過酷な風環境下でも安定して発電可能な風力発電機の開発。
- DeepEyeVision(ディープアイビジョン):ディープラーニングを用いた医療機関向け眼科画像診断支援サービスの展開。
- Triple W Japan(トリプル・ダブリュー・ジャパン):体内深部の変化などを安全にモニタリングできる超音波ウェアラブルセンサーの開発および商品化。
- PLANET TABLE(プラネット・テーブル):既存流通や直接のやり取りと比較し、生産者の所得やモチベーションアップが可能なm農畜水産物の新たな流通支援プラットフォームを展開。
コンテストの審査員を務めるのは、TomyK代表でACCESS共同創業者の鎌田富久氏、立命館大学の情報理工学部で教授を務める西尾信彦氏、IT-Farmのジェネラルパートナー白井健宏氏、Plug and Play Japanの小林俊平氏、そしてXTC Japanのメンバー1名。
当日は、「ソーシャルインパクト投資」、「日本のSDGsの現状」、「世界規模で事業を展開する企業の作り方」などをテーマとした、専門家による特別講演も行われる。XTC主催者、そしてTreasure Data創業者、芳川裕誠氏の登壇が決定している。
XTC JAPANが目指すのは、日本におけるインパクト投資の活性化、そしてグローバル課題の解決、ならびに海外進出を目指すスタートアップの支援。
XTC JAPANは、日本のソーシャルインパクト投資市場は微増に留まっているのが現状。一方、グローバルではソーシャルインパクト投資の投資残高は急速に増加しており、昨年4月での推定残高は5020億ドル(約55兆円)と、2018年から倍以上に増加したとも言われている、と説明。
そして、日本では数少ないユニコーン企業ですら、海外進出に苦戦している。また、日本はマーケットが小さいため、ある程度までしか成長しないという課題もある、と指摘している。
IT-FarmのパートナーでXTC Japanの企画、後援を務めている春日伸弥氏は「『グローバル課題の解決』。それが全てだ。グローバルの課題を、テクノロジーを使って解決する。そのために、スタートアップを、資金やパートナーシップなどにより支援する」と話す。
春日氏いわく、今回の初の日本予選では「結果的に、日本国内でなく世界に目を向けているスタートアップからの応募が集まった」。同氏は2月26日のイベントが起点となり、前述のようなSDGs達成を目指すスタートアップが、例えば大企業と繋がることにより、エコシステムが活性化することを期待している。XTC Japanでは現在、一般参加者向けのチケットを販売中だ。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/02/07/xtc-japan-competition-2020/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Daisuke Kikuchi