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スズキ新型「ハスラー」はココがスゴい!個性的デザインを継承しつつ居住性は大幅進化

2014年にブランニューモデルとして誕生したスズキ「ハスラー」が、先頃フルモデルチェンジを果たした。初代ハスラーは、累計販売台数約48万台を記録した大ヒットモデル。それだけに、新型に期待するなというのは無理な話だ。

今回は、そんな期待が集まる、2代目ハスラーのデザインと使い勝手を検証する。

■「所有すると楽しそう」というイメージ訴求に成功した初代ハスラー

初代ハスラー

ハスラーというクルマの何よりの特徴は、ハイトワゴンとSUVのクロスオーバーカーだという点。室内が広い実用的なパッケージングを採用しながら、車高を少し持ち上げて大きなタイヤを組み合わせることで、SUVの雰囲気をプラスしている。そうした、使い勝手を犠牲にすることなく遊び心を感じさせたことや、「所有すると毎日が楽しくなりそう」というイメージを人々に抱かせたことが、初代が大ヒットした最大の要因といえるだろう。

軽自動車は今や、日本の乗用車市場の約4割を占める売れ線だけに、ライバルとの競合が激しい。全長3.4m×全幅1.48mという小さな車体ながら、メーカーどうしの切磋琢磨もあって、ハイトワゴンやスーパーハイトワゴンのような実用性重視のモデルはいずれも居住性が高く、新型が登場するたびに使い勝手も向上している。

そうした横並びの状況下、「より魅力的な商品とし、ユーザーに選んでもらうにはどうすればいいか?」というのが、現在、軽自動車メーカー各社の悩みどころとなっている。その点、初代ハスラーは、「所有すると楽しそう」という新しいイメージを訴求することで、こうした課題に対する答えを示したのだ。

事実、丸いヘッドライトを核とする初代ハスラーの愛くるしいスタイルを初めて目にした時、思わず「その手があったか!」とスズキの発想力の豊かさに驚かされ、「コレは積極的に選びたいと思える存在だ」と実感したのを記憶している。

■サイドウインドウを立てることで広々感がアップした新型

そんなハスラーの新型に接してまず安心したのは、丸いヘッドライトを軸としたフロントマスクなど、初代の特徴がしっかり残されていること。このヘッドライトのおかげで、新型もひと目でハスラーだと分かる。

ハスラーらしさを受け継いだフロントマスクに対し、ボディのプロポーションは大きく変化。キャビンの形状が“四角く”なったのだ。初代はサイドウインドウの下に、“ショルダーライン”と呼ばれる絞り込みがあり、ドアパネルよりもサイドウインドウが内側へ倒れ込んでいたが、新型はサイドウインドウ面がドアパネルとほぼフラットに。サイドウインドウの位置が外側へとオフセットされた結果、ルーフは左右幅が広がり、より後方へ伸びた分、リアゲートは垂直に近づいた。さらに新型は、リアピラーに小窓を追加し、斜め後方の視界も確保している。

そうしたパッケージングの変化は、居住性の向上につながっている。軽自動車は車体サイズの最大値が決まっているため、居住性をアップさせるためにボディサイズを大きくすることはできない。そこでハスラーは、側面パネルやサイドウインドウをできるだけ外側へ広げることで、居住空間を広げているのだ。

その結果、フロントシートのショルダールーム(乗員の肩の位置における室内幅)が、初代に対して32mmも拡大。それに伴い、左右乗員を初代より30mm離して座らせるシートレイアウトを採用したことで、横方向の開放感は格段に高まった。また、天井の左右幅が広がり、頭上の圧迫感が緩和された点も、広さを実感させることに貢献している。

その上で新型は、前後シートの間隔を初代比で35mm拡大。四角くなったキャビンの恩恵をフルに生かし、前後左右ともに居住スペースが拡大しているのだ。

新型のキャビン周りのデザインは、先代に比べて個性がやや薄まったように思えるが、四角いキャビンは、本格オフローダーである「ジムニー」に似た雰囲気を醸し出しているし、新型の開発の方向性である“よりタフな雰囲気に”を具現したものともいえる。この四角いキャビンこそ、ハスラーの新たな個性と捉えていいだろう。

■使い勝手と遊び心があふれるインテリア

新型ハスラーのドアを開けて運転席に座ってみると、インパネのデザインが初代のそれとは全く異なっていることに驚く。先代は、左右をフラットなパネルでつないだレトロ調のデザインだったが、新型はメーター部、センター部、そして助手席前の部分という、3つのフレームを組み合わせることで武骨さを強調している。

メーターには、スズキの軽自動車として初めて、4.2インチのカラー液晶ディスプレイを設け、上級感が飛躍的にアップ。

またセンター部には、メーカーオプションの9インチ大画面ナビがすっきりと収まるのが見どころだ。

そして助手席前の部分は、グローブボックスのリッドを開くとテーブルとして使える先代のアイデアを継承しつつ、その奥にあるボックスの容量を拡大(ボックスティッシュも収められる!)している。

さらに、リッド表面に販売店アクセサリーの「カラーコード」を引っ掛ければ、小物を固定したりディスプレイできたりする楽しいアイデアを打ち出している。こういった遊び心こそが、ハスラーの魅力を高める要素といえるだろう。

フロントシートは、左右が完全に独立したセパレートタイプ。軽自動車としては形状も立体的で、乗員のカラダをしっかりと包んでくれる。その上で運転席は、シートリフターの調整量を拡大、基本となる着座位置を従来比7mm下げている。これは信号待ちで最前列に並んだ際に、ルーフに遮られて信号が見えにくいという初代のウイークポイントを解消するのが目的。確かに信号の見えにくさは大幅に改善されている。

リアシートは、スーパーハイトワゴンの「スペーシア」と比べるとさほど広く感じないが、とはいえ居住性は十分。初代も十分広かったが、新型はさらに広くなっており、さらに、左右独立で細かく調整できるスライド&リクライニング機構も備えているから、ファミリーユースなどでも重宝するだろう。

ラゲッジスペースの広さは、軽自動車としては一般的な水準。その中で注目したいのは、シートスライドの操作方法だ。初代は前方(リアシート側)からしか操作できなかったが、新型では後方にも操作ストラップが設けられ、荷室側から動かせるようになった。

ちなみにラゲッジスペースのフロアは、濡れたギアやドロの付いたアイテムも気軽に積み込めるはっ水仕様。さらにフロアの下には、小物の収納などに重宝する取り外し式のラゲッジアンダーボックスが用意されている。

新型ハスラーは、初代の個性をしっかり継承しながら、ウィークポイントとされていた部分を確実に対策。その上、室内は広くなり、居住性や実用性は大幅に向上している。これはまさに、王道のモデルチェンジといえるだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドX(2WD)
ボディサイズ:L3395×W1475×H1680mm
車重:820kg
駆動方式:FF
エンジン:657cc 直列3気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:49馬力/6500回転
エンジン最大トルク:5.9kgf-m/5000回転
モーター最高出力:2.6馬力/1500回転
モーター最大トルク:4.1kg-m/100回転
価格:156万2000円(ツートーンカラー仕様)

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドXターボ(4WD)
ボディサイズ:L3395×W1475×H1680mm
車重:880kg
駆動方式:4WD
エンジン:658cc 直列3気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:64馬力/6000回転
エンジン最大トルク:10.0kgf-m/3000回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
モーター最大トルク:5.1kg-m/100回転
価格:179万800円(ツートーンカラー仕様)

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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