人材採用関連サービスを提供するROXXは2月19日、サイバーエージェント、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先として、総額5億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達は、2019年7月発表のパーソルキャリアと既存株主からの約3.7億円の調達に続く、シリーズBラウンドに当たり、同社の累積調達額は約12億円となった。
ROXXは現在、月額制のリファレンスチェックサービス「back check」と、求人流通プラットフォーム「agent bank」を提供している。
2018年5月に正式リリースされたagent bank(旧SARDINE)は、人材紹介会社のための求人データベースと業務管理ツールのクラウドサービスだ。月額利用料のみ、成功報酬に対する手数料が不要で、2000件以上の求人に対して転職者を紹介することができる。利用ハードルの低さから、累計400社以上のエージェントがagent bankを利用しているという。
また求人企業の側も、完全成功報酬型で募集求人を何件でも無料で掲載可能。成功報酬は求人ごとに自由に設定でき、従来の人材紹介より低コストで採用が可能になっている。このため、大手企業からスタートアップまで、幅広い規模と業種の求人を集めるようになっている。
リファレンスチェックのback checkは、面接や書類からだけでは見えにくい採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得できるサービスだ。採用予定の職種・ポジションに合わせて数十問の質問を自動生成し、オンライン上でリファレンスチェックを実施できる。
back checkには、候補者の前職における勤怠・対人関係といった基本的信頼性を可視化するスコアリングや、性格診断による職務適性チェックといった機能が備わっており、独自のデータ分析により、入社後のパフォーマンスを総合的、客観的に分析・予測することが可能となっている。レポートに表示される適正を踏まえて、面接での確認事項や、配属先検討の際の組織やメンバーとの相性を考えるための参考とすることができる。
back checkの利用料は月額定額制で、従来のリファレンスチェックサービスに比べて10分の1程度の費用でチェック実施が可能。2019年10月の正式リリースから、2020年2月現在、累計導入企業数が300社を超えた。今回、藤田ファンドからROXXに出資を行うサイバーエージェントも、サービス利用企業の一社だ。
今回の資金調達により、ROXXではagent bank、back checkの各プロダクトの強化と、これにともなう採用強化を図るとしている。ROXX代表取締役の中嶋汰朗氏は「昨年比でagent bank事業は主要KPIがすべて300%超の成長を実現していることに加えて、新規事業のback check事業においては導入企業様の採用フローにリファレンスチェックが確実に浸透している」として、「今回の資金調達は両事業のさらなる成長を加速させることを目的としたラウンドと位置づけている」と述べている。
今後、agent bank事業については、前回のリード投資家で資本提携先でもあるパーソルキャリアのアセットと自社の事業開発力を掛け合わせ、人材紹介の領域拡大を牽引するサービスとなるよう、投資を行うと中嶋氏。「2030年には640万人もの人手が不足すると予測されている中で、中長期で成長し続けるROXXの主力事業とする」(中嶋氏)
またback check事業については、「タクシーCMの公開や導入実績の増加により、リファレンスチェックそのものの認知が拡大されているのを感じているだけでなく、実際に採用のミスマッチを防ぐことができたという事例が日々増えている」と中嶋氏はいう。「日本全体で転職へのネガティブなイメージが払拭され、キャリアの多様化が進むに伴って、採用企業において必要とされるツールになると確信し、事業部全体に対して投資を強化する判断をした」(中嶋氏)
中嶋氏は「前回の調達をきっかけに大手人材会社の経営や事業構造に数多く触れる機会を得て、業界構造の負をインターネットサービスで解決できる領域がまだまだ残されていることに気づいた」と述べ、「決して既存の文化を壊すのではなく、踏襲した上でより良い形を実現することが私たちROXXの役割だと認識した。20年、30年とサービスの価値が上がり続ける事業になるよう、引き続き尽力する」とコメントしている。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/02/19/roxx-fundrasing-500-m-yen/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Wakako Mukohata