Walmart(ウォルマート)のホリデー商戦の業績は予想に届かなかった。2019年第4四半期決算の売上高は1416億7000万ドル(約15兆6000億円)で、予想の1425億5000万ドル(約15兆7000億円)を下回った。1株あたりの調整後利益は1.38ドル(約152円)で、これに対し予想は1.44ドル(約158円)だった。同社は要因をいくつか挙げ、そこには米国店舗におけるホリデー商戦が予想よりも「軟調」だったことも含まれる。12月は特に玩具、メディア、ゲーム、アパレルの売上が芳しくなかった。
消費者がこれまでになくオンラインで買い物する傾向があり、全体的に決算はWalmartに向かい風が吹いていることを示している。その一方でWalmartはオンラインにかなり投資しているものの、いまだにそのオンラインではなく実在店舗でかなり売り上げている。第4四半期にはいくつかの問題が重なった。玩具産業が抱える問題(これはTargetもまた直撃した)、ゲームの新味のなさ、短いホリデーショッピング期間が足を引っ張り、さらには暖冬でアパレルの売上が多くの店舗で落ち込んだ。
Walmartのように店舗が大きくても、棚のスペースと面積がものをいう。棚卸表がすばやく回転しなければ、売上は苦戦する。第4四半期の米国の既存店売上高は1.9%増で、予想の2.3%を下回った。
それとは対照的に、Amazon(アマゾン)のホリデー商戦は予想を上回った。過去最多の売上高となり、有料のプライム会員数は1億5000万人に増加。翌日配達と同日配達の件数は前年同期の4倍になった。
Targetなどと同様、これまでのところWalmartはハイブリッドなアプローチをとることにおいて概ね成功している。これは実在店舗事業とオンライン事業が区別されていないことを意味し、むしろオンラインで購入したものをピックアップするために客を店舗に誘導するように働いている。マーケットシェアを取り込み、Walmartの全体的なeコマース売上高を成長させるのに役立っている。
第4四半期でもそうで、eコマース売上高は35%増えた。これにはオンライングローサリーが大きく寄与した。グローサリーの売上高は「過去10年で最高」だった。Walmartはオンライングローサリーに対応する店舗の数を急速に増やしていて、年末時点でオンライン購入のピックアップに対応する店舗は3200店、そして1600店が配達も行っていた。
eコマースは同四半期中のホリデー商戦を牽引したが、成長幅は前年同期の方が41%増と2019年第4四半期の35%よりも大きかったことは指摘するに値するだろう。
一方のTargetは、グローサリー以外のものも含む同日グローサリー配達サービスのShiptを拡大していて、自前のアプリやTarget.comにもShiptを取り込んだ。そしてもちろん、AmazonのPrime会員はWhole Foodsのおかげでグローサリーを購入でき、日々の買い物でこれまでで最も速い配達を利用できる。
加えて、いまだにもうかっていないWalmartのeコマース事業は2019年は別の問題にも直面した。アパレル部門での買収のいくつかは期待したほどの結果が出なかった。2019年WalmartはModclothを売却し、Bonobosはスタッフを解雇、そして創業者のAndy Dunn(アンディ・ダン)氏は社を去った。Walmartはまた都市部でのグローサリー事業Jet.comをやめ、実験的な買い物サービスJet blackも終わりにしたばかりだ。
これとは別にWalmartは、第4四半期中のチリにおける政情不安がらみの問題も指摘した。Walmartの多くの店舗が影響を受けた。しかしSam’s Club、Walmex、中国事業、Flipkartの業績は良かった。
「ホリデー期間中の取引は増え、同期中の費用レバレッジは強固だったことがはっきりした。しかし売上高の伸び悩みやカレンダーの日並びによるプレッシャーなどのため、予想したほどに良くはなかった」とWalmartのCFO、Brett Biggs(ブレット・ビッグズ)氏は声明文で述べた。「決算に影響を及ぼした要因を我々は理解していて、これらを解決すべく計画を練っているところだ。ビジネス戦略、そして全世界で提供しているオムニチャンネルの統合を通じて顧客に価値と利便性を届ける能力にには引き続き自信を持っている」と付け加えた。
Walmartは下方修正した2021年ガイダンスも明らかにした。1株利益見通しは5〜5.15ドル(約550〜566円)とし、これはアナリストの予想5.22ドル(約574円)を下回っている。ここには新型コロナウイルス感染拡大の影響は考慮されておらず、同社は状況を引き続き注視している。
画像クレジット: Scott Olson
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(翻訳:Mizoguchi)