患者の待機時間が短くなることで、ウイルスへの暴露リスクが下がる。また、より多くの患者を診断できて、正確な感染者数把握にもつながるだろう。
・蛍光分子を凝縮してウイルスのRNAを検出
診断には唾液検査が用いられる。ウイルスのRNAにレーザー光線を当てることで、蛍光分子の結合を引き起こす。結合した蛍光分子が放出する光により、ウイルス特有のRNA配列を検出する方法だ。
既存の診断技術では、RNAの濃度が低い場合、放出される光の量が低すぎてウイルスの検出がむつかしかった。新しい技術では、唾液の溶液に磁性粒子を加えることで、それらが蛍光分子に付着。2つの電磁石により強い磁場を作り出し、溶液内の蛍光分子を凝縮する。
これにより検出感度が桁違いに上がるが、それだけでなく電磁石を交互に操作することでレーザービームの反応がわかりやすくなるという。
・操作が容易で正確に診断できる検出キット開発へ
同技術は、すでにジカウイルスでの有効性が証明されており、研究機関で活用されているとのこと。
唾液の分析に慣れていない医師でも正確にウイルスを診断することが可能で、医療リソースに乏しい地域でも活用できる。また、今後患者数が膨れ上がり、検査機関がマヒ状態になる可能性を考えると、診断時間が短縮できるメリットは大きいだろう。
研究者らのグループは、ヨーロッパの大学と協力して、同技術の新型コロナウイルスへの適応を急いでいる。また、医療機器開発のMagBiosenseと協力して、同技術を備えたコンパクトサイズの診断デバイスも開発中だ。資金提供者も募っていて、このスピーディな検出キットの実用化が待たれる。
- Original:https://techable.jp/archives/117565
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji