「スマート家電」って、使ったことがありますか? 「便利すぎて、もはや手放せない」という人がいる一方、「使いこなしが難しそう」「必要性を感じない」という未経験の人も多いでしょう。スマート家電の普及のきっかけになることが期待されていたスマートスピーカーも、日本ではいまひとつ伸び悩んでいる状況です。なので、「まだ使ったことがない」という人のほうが多いと思われます。
そんな中、IoT(モノのインターネット)製品を専門に取り扱う+Style(プラススタイル)は、2018年からオリジナルのスマート家電の企画・製造にも着手し、ラインナップを拡充しています。
2月5日に開催された新製品発表会では、2019年に同社が販売したIoT製品の人気ランキング ベスト10が発表されました。それらの製品が売れた理由について、同社の取締役社長・近藤正充氏に解説してもらいました。毎日の生活をスマートにしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。なお、ランキングは販売個数ではなく、売り上げ額によるものです。
第1位「Qrio Lock」
昨年売り上げ1位だったのは、スマホで鍵を操作できるスマートロック。鞄にスマホを入れたままで、ドアに近づくだけで解錠することもできます。さまざまなタイプのドアロックに対応しているので、賃貸住宅でも取り付け可能。工事不要で簡単に取り付けられます。価格は2万3019円。
▼近藤社長のおすすめポイント
Qrio LockそのものはBluetoothで開閉する仕組みで、離れた場所からは操作できません。しかし、別売の「Qrio Hub」と連携させることで、外出先から操作したり、操作した通知をスマホで受け取ることもできます。その提案が支持されました。ソニーの子会社の製品なので、安心感もありますよね。
第2位「+Style スマートロボット掃除機 B300」
+Styleオリジナルのロボット掃除機で、高さがわずか6.2mmであることが特徴。ジャイロセンサーを搭載し、簡易的なルームマッピングが可能。1万6800円というお手頃価格も魅力です。
▼近藤社長のおすすめポイント
開発のきっかけは、私が使っていて某大手メーカーのロボット掃除機が、ソファの下に入れなかったこと。自宅のソファー下が8cmくらいで、その掃除機の高さが9cmくらいだったんですね。一番掃除したいところって、ソファやベッドの下ですよね。そこで、日本の住環境に合わせて約6.2cmという薄さの掃除機を作りました。価格も重視したので、そんなに賢くはないのですが、ちゃんと充電ドックには戻ります。
第3位「+Style スマートロボット掃除機 G300」
3位もオリジナルのロボット掃除機。高精度なルームマッピングを行うレーザーセンサーを搭載。充電ドックの位置が記憶され、充電切れになりそうになったらドックに戻り、充電後に掃除を続けます。薄型の「B300」よりは厚いですが、それでも約8.2mm(レーダー上部までは約10.2mm)に抑えられています。価格は2万6800円。
▼近藤社長のおすすめポイント
めちゃくちゃ頭がいいロボット掃除機です。家中を1周するだけで、レイアウトを記憶してくれます。ドックにはほぼ100%に近い確率で戻ります。当初は3万4800円で販売していて、それでも大手メーカーの製品よりも安いですし、現在はもっとお買い求めいただきやすい価格にしています。
第4位「+Styleスマートマルチリモコン」
テレビ、レコーダー、エアコン、照明器具など、家にある赤外線リモコンをまとめて、スマホで操作できるアイテムです。スマートスピーカーにも対応し、声でも操作できます。価格は4980円。
▼近藤社長のおすすめポイント
スマートリモコンは、すでに数社が発売していて、コモディティ化してくる中で、デザインが勝負になってくると考えていました。テレビの近くに置いて馴染む黒にして、光沢を持たせたデザインにしました。中身は、スマートリモコンのNo.1メーカーであるラトックシステムさんのものです。昨年10月に発売して以来、好評をいただいている製品で、世界的なデザイン賞であるIFデザインアワードも受賞しました。
第5位「+Style スマートLEDシーリングライト」
スマホやスマートスピーカーから操作できるシーリングライト。無段階の調光が可能で、時間に合わせて明るさを切り替える設定も可能。ほかのIoT機器と組み合わせて、ドアが開くと点灯させたり、セキュリティカメラが人を感知すると自動で点灯するといった連携も可能。価格は7980円。
▼近藤社長のおすすめポイント
照明器具は、わかりやすく“スマートらしさ”を体験できる製品なので、初めてスマート家電を使う人にもおすすめしたい商品です。同じようなシーリングライトを、別メーカーさんが出していましたが、それよりも安い価格で発売しました。つい先日、大手家具メーカーさんも発売しましたが、実勢価格は+Styleのほうが安いはず。この製品は開閉センサーやマルチセンサーと組み合わせて使うのがおすすめです。私の家では、倉庫にしている部屋に設置して、ドアを開けた時にだけ点灯するようにしています。
第6位「Palm Phone」
総合ランキングとは別に「スマホ・ガジェット部門」の人気ランキングも発表されましたが、そこで1位だったのが、3.3インチの液晶ディスプレイを搭載するコンパクトなスマホ「Palm Phone」。クレジットカードとほぼ同じサイズながら、Android 8.0を搭載し、リア(12メガピクセル)+フロント(8メガピクセル)のカメラを搭載。IP68の防塵・防水にも対応しています。価格は4万5630円。
▼近藤社長のおすすめポイント
ガジェット好きには有名は「Palm」ブランドを冠したスマホです。小さいながらもAndroidスマホとしての機能をしっかり備えています。一般的なスマホではなく、ちょっと変わったものを望まれる方も多いので、今年もそうしたニーズに応えるスマホを発売したいと思っています。1月に開催されたCES 2020(世界最大の電子機器の見本市)で話をしてきたものもあるので、ご期待ください。
第7位「Elgato Game Capture HD60 S」
「Elgato」は世界のゲームクリエイターやプレイヤーから絶大な支持を受けているブランド。この製品は、ゲームをストリームしながら録画もできるキャプチャーボード。「Twitch」「YouTube」などにライブ配信ができ、1080p/60fpsで録画できます。
▼近藤社長のおすすめポイント
年間ランキングに入るほどの売れ行きを記録したことからも、ゲーミングが注目されていることを、あらためて実感しました。
第8位「Elgato Stream Deck」
Game Captureと同じく、「Elgato」ブランドの製品です。カスタマイズ自在のショートカットキーボードで、15個のLCDキーに、最大210のアクションを割り当てることが可能。ワンタッチで、シーンの切り替え、SNSの起動、オーディオの調節などを行えます。
▼近藤社長のおすすめポイント
いわゆる “スイッチャー” でゲーミング市場においては独占に近いほど売れている製品です。コントロールするキーには自分で作成したアイコンを設定できます。録画の開始から、動画のトリミングまで、全てワンボタンで操作できることがポイントです。
第9位「Tile Mate」
アメリカ発の落とし物トラッカー。これを取り付けた物をなくした場合に、スマホアプリですぐに見つけたり、逆にスマホを探すことも可能。外出先でなくした場合は、最後にBluetoothに接続した場合と時間がスマホでわかる仕組み。電池交換版の「Tile Mate 2020」は単品が3190円で、4個パックが9790円。
▼近藤社長のおすすめポイント
世界的に人気のあるトラッカーで、かなりのヒット商品です。簡単に使えるものなので、忘れ物が多い人は、ぜひ試していただきたいですね。
第10位「+Style スマート LED 電球(調光・調色)/ E26」
スマホのアプリでオン・オフはもちろん、タイマー設定、調光や調色の切り替えなども行えるオリジナルのLED電球。スマホとWi-Fi環境さえあれば使えますが、スマートスピーカーと連携させて声で操作したり、アプリ上で他のLoT機器と連携させることもできます。一般的な白熱電球よりも大幅に長持ちすることも利点。価格は2460円で、2個・4個の割引セットも用意されています。
▼近藤社長のおすすめポイント
ベスト10の中では最も単価が安い商品。なので、数としてはものすごく売れました。Amazon.co.jpのジャンル別ランキングで2位になったこともあるほど売れました。実際に私も自宅で使っていますが、時間によって色味や調光を変えられるのが魅力。朝は、カーテンを開けなくても一番強い光で目覚めて、夜は柔らかいオレンジ色が時間を追って暗くなる設定にしています。そうした自分好みの設定がアプリで簡単にできます。
■スマート家電のコントロールがさらに簡単に!
発表会では、+Styleの製品を設定・コントロールできる「+Style」アプリに「GPS機能」が追加することも発表されました。これによって、自分が家を離れると照明がオフになったり、家に近づくとエアコンがオンになったりと、移動するだけで家電の自動オン・オフが実現するそうです。
いち早く、その機能を試している近藤氏は、GPS機能を用いたスマート設定の名称を「寂しくない」にしているそうです。「自宅に近づくと、テレビと照明とエアコンをオンになる設定にしているので、扉を開けると、明るくて、温かくて、テレビの音も聞こえる。寂しくないんですよ」。それまでは、スマートスピーカーと連携する設定にしていて、扉を開けて「ただいま」と話すと、照明が点き、エアコンがオンになったそう。「私は一人暮らしなのですが、誰もいない部屋に帰って来て『ただいま』と言うのは寂しいんですよ(笑)」。
近藤氏は、2020年を「スマホといえばスマートフォン」ではなく、「スマホといえば“スマートホーム”」という年にしたいとのこと。
■2020年の第1弾はビギナーに最適なスマート照明
スマートホーム元年の第1弾商品としてリリースしたのは、2つの照明器具。「スマートLEDベッドサイドランプ」は1677万色の調色が可能なLEDランプに加えて、目覚めに最適な白色の専用LEDを搭載していることがセールスポイント。「スマートLEDデスクライト」は子供の勉強机に設置すれば、親は離れた場所にいてもスマホアプリでライトが点いているか否かがわかる仕組みです。
先にも書きましたが、+Styleの製品はWi-Fiとスマホがあれば使い始められます。「OK Google」や「Alexa」と話して操作するスマートピーカーは要りません。でも、あったらあったで便利に使えます。ドアロックやスマートリモコンなどを後から買って、機能を拡張することもできます。なんだか楽しそう……と思ったあなた! スマートホームへの第一歩を踏み出してみませんか?
>> +Style
(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
- Original:https://www.goodspress.jp/news/280318/
- Source:&GP
- Author:&GP