<&GP編集部員が買ってみた!使ってみた!>
3月にキャンプに行くことが決定。炊事担当に任命されたものの、総勢7名の胃袋を満たすためには手持ちの熱源だけでは心許ない! ということでアウトドアショップに直行。
しか〜し、キャンプ道具の中でも猛烈に所有欲をそそられるシングルバーナーだけに、バーナーコーナーに足を踏み入れた途端、心の中で激しい戦いが繰り広げられました。ようやく人気も落ち着いたスノーピークの「HOME&CAMP バーナー」しようか、自宅でも使いやすそうなイワタニの「カセットフー タフまる」しようか、それとも…。
そんな心の葛藤を制したのは、SOTOの「レギュレーターストーブ FUSION(フュージョン) ST-330」(9000円/税別)。3月にはOD缶仕様のSOTO「フュージョントレック SOD-330」も登場しますが、トレッキングはしませんし、手持ちの「レギュレーターストーブ ST-310」とボンベを統一できるということもあり、こちらを選択。
『&GP』でも昨年の発売直後に紹介し、ずっと気になっていたのですが、今回のキャンプ料理担当を機に購入。他サイトでも色々紹介されていますが、改めて手持ちのST-310と比べてみたら人気の秘密がわかりました。
その結果、炊事担当としては最適な選択でした!
順を追ってその理由を解説していきます。
■ここが違う!ST-310とST-330
ここ10年ほど愛用しているのがCB缶(いわゆるカセットボンベ)仕様の「レギュレーターストーブ ST-310」(以下ST-310)。「レギュレーターストーブ FUSION(フュージョン) ST-330」(以下フュージョン)との大きな違いはボンベとバーナーが一体式なのか、分離式なのかですが、果たしてそれだけの違いなのか? 違いを検証してみました。
1.本体収納サイズに違いはあるが、感覚的にはほぼ同じ
本体の収納サイズは、ST-310が幅140×奥行70×高さ110mm、フュージョンが幅110×奥行75×高さ90mmと、ST-330の方が小さいものの、ケーブルがある分、全体を収納する場合はほぼ同じようなサイズ感。重量はそれぞれ350gと250gで、フュージョンの方がだいぶ軽くなっています。
ただフュージョンには収納袋が付属しないので、ST-310同様、収納袋を付けて欲しかったというのが本音。収納する際には、FUSIONポーチ「ST-3301」(1800円/税別)などを別途購入する必要があります。
ちなみに、個人的にはASOBITOのツールボックスSに収納。ST-310とフュージョン、ガスボンベ3本がぴったり収まります。これ1つで、レギュレーターストーブのツーバーナー化ができますし、ボンベも予備で1本入るので、おすすめです。メッシュポケットには、折り畳み式のウインドスクリーンと着火ライターを入れています。
2.イグナイターの位置が異なり、着火しやすくなった
ST-310ではイグナイター(電圧点火装置)が火力調整バルブの下に付属しているため、着火しにくいのが難点でした。フュージョンでは、ボンベの根元、火力調整バルブの上に付いているため着火しやすく、使い勝手が抜群に良くなりました。
3.ゴトクの高さと直径、4本の間隔が違い安定感が増したが…
大きな違いの2点目は、ゴトクの高さと直径、4本足の間隔。ST-310はゴトクが高くて間隔が狭く、直径は130mm。対してフュージョンは低くて間隔が広く直径は165mm。
どんなサイズのクッカーがのるか後述しますが、フュージョンの安定感は抜群。ただ4本足の間隔が広くなった分、小さめの調理道具は単体ではのせにくくなりました。ちなみに同社のCB缶を使った分離型ストーブ「シングルバーナー ST-301」のゴトクは3本。
また、ST-310はバーナーヘッドが山型、フュージョンがすり鉢状になっている分、耐風性能がアップ。火力は、ST-310が2.9kW(2500kcal/h)、フュージョンが2.6kW(2200kcal/h)と、前者の方がパワーがありますが、防風性の高さもあってか火力は安定し、パワーの違いはあまり実感しませんでした。
なお仕様書上では、ガスボンベST-760を1本使用で約1.5時間と、使用時間は変わりません。
4.想像以上にケーブルの自由度が高い
バーナーとボンベが分離しているのがフュージョンの特徴ですが、想像以上に燃料ホースが長く、自由度が高い印象。ボンベを横でも縦でも置けるので、これだけでもレイアウトのしやすく、料理の自由度がかなり高くなりました。
■どんな調理器具をのせられるのか昼夜朝の料理で検証
自宅のガスコンロが一口と二口では大きく違うように、アウトドアでも同じです。特にハイキングや登山などをしなければ、熱源が多い方が料理の幅が広がることは間違いありません。
シングルバーナーも1つより2つある方が、調理時間を短縮できますし。料理の幅が広がります。
そこで今回、3月のキャンプを前に、シミュレーション。昼過ぎにキャンプ場に着くと想定し、昼夜朝の料理をさまざまな調理器具で作ってみました。
【昼】フライパンを使って簡単パスタソース
自宅を朝出ると、キャンプ場に着くのはだいたい昼。着いてすぐに本格的な料理はできないので、サッと作れてすぐにエネルギーになるパスタが定番。
1つのクッカーでパスタを茹でている間にパスタソースを作れば、10分ほどで完成。今回はパスタでしたが、ペンネの方が簡単かもしれません。
パスタソースを作った、直径18cmほどのフライパンは安定感抜群でした。
【夜】鉄板でステーキ、メスティンで炊いたご飯をガーリックライスに
夜はやっぱりお肉! キャンプに厚切りステーキは欠かせないので、フュージョンにヨコザワテッパンをのせて肉を焼いてみましたが、分離型なので輻射熱も気にならず、きれいに焼けました。ゴトクが4本足で重心が低く、下の接触部分がST-310よりも広くなったせいか安定感を感じられます。
またアルミ製のメスティンは軽いのでもちろん文句なし。ラージ メスティンも問題なくのります。
メスティンで炊いたご飯はガーリックライスに。先ほどのフライパンよりも大きめの直径20cmのフライパンをのせましたが、これまた安定感は抜群。ゴトクの先端が短くなっているので、底面が曲線を描いているクッカーはぴったりと収まります。
せっかくなので、ついでに網を置いてサザエを焼いてみました。網は結構大きめでしたが、端を使っていないので問題なくおいしくいただきました。
ただし、中から水が出てバーナーが汚れることがありますので、BBQグリルで焼く方がオススメです。
【朝】ダッチオーブンでポトフ、ホットサンドメーカーでホットサンド、そしてコーヒー
朝は手軽なホットサンドとコーヒーと、ポトフ。
ホットサンドメーカーはハンドルがある分、バランスが悪いのですが、特に4W1Hの「ホットサンドソロ」は通常のホットサンドメーカーよりも焼き部分が小さめなので、ぴったりというわけにはいかず。それでもハンドルをゴトクのひとつにのせることで、焼きムラもなく焼けました。
今回一番問題だったのが、コーヒーポット。トランギアのケトルのように底面が広ければ問題はないのですが、底面直径が7.5cmのコーヒーポットはかろうじて乗る程度。ちょっとバランスを崩すと傾くのでかなり危険です。コーヒーを淹れる際は、網を敷いてその上にポットをのせて沸かすか、ケトルで湯を沸かして移し替えた方が良さそうです。
ちなみに直径7.5cmがどれくらいかというと、ちょうどホテイフーズの「やきとり」缶と同じです。なので、やきとり缶をバーナーで温めながらちょっと一杯という人は、網を敷いてのせてから温めて下さい。
ダッチオーブンも問題なし。ゴトク径は165mmで、輻射熱も少ないから、もう少し大きめのダッチオーブンでも問題なさそうです(とはいえダッチオーブンやスキレットのサイズには要注意!)。
今回使ってみて感じたのは、調理道具の安定感と火力調整、耐風性の高さ、火力の安定性。やはり人気があるのがわかりました。
料理をする際は、かき混ぜたり、フライ返しを使ったりすることがあるので、本体がブレると料理しにくいものです。料理をする上では、火力調整が大切。弱火ができるだけで煮込み料理など、料理の幅が広がるので重宝します。
また風が強い時には料理時間が長くなるため、防風性の高さや火力の安定性もアウトドアで料理するには大事な要素です。
つまり「レギュレーターストーブ FUSION(フュージョン) ST-330」は、サッお湯を沸かしたり、簡単な山ごはんを作ったりするためのバーナーではなく、キャンプでちゃんと料理を作ることが考えられたシングルバーナーだということ。
これまで愛用してきたST-310と併用すれば、かなりの料理ができそうです。3月のキャンプ料理が楽しみになってきました。
>>SOTO「レギュレーターストーブ FUSION(フュージョン) ST-330」
(写真・文/澤村尚徳<&GP>)
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/281010/
- Source:&GP
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