76億ドル(約8400億円)の価値がつく前、Robinhood(ロビンフッド)がもともと持っていたアイデアは株式取引ソーシャルネットワークだった。2013年、サンフランシスコの筆者自宅のキッチンテーブルで創業者らは、予測の正確性を争う順位表が閲覧できるフィードを用意し、そこに投稿された耳寄り情報を共有するアプリを構想していた。SEC(米証券取引委員会)承認後は、本当に稼げるような方向へ転換した。アプリで株式を売買したり、資金を借りて代金を払えるようにしたのだ。
プロファイルは、ロビンフッドの顧客にもっと多くの取引を行う自信を与え、他の証券会社に顧客が流出するのを防ぐ。Charles Schwab(チャールズシュワブ)、Ameritrade(アメリトレード)、E-Trade(Eトレード)などはロビンフッドに合わせて、取引手数料を無料にした。Wall Street Journal(ウォールストリートジャーナル)によると、Morgan Stanley(モルガンスタンレー)は2月20日、130億ドル(約1兆4000億円)でEトレードを買収した。
だが最も興味深いのは、プロファイルがソーシャルネットワークとしての基盤をどのように構築するかだ。他のユーザーが作成したアカウントやリストをフォローできるというのは簡単に想像できる。オリジナルのロビンフッドアプリを使用すると、ユーザーは「今後11週間でFacebookの株価が17%上昇する」といった予測と、その理由を説明するコメントを公表できる。ユーザーの予測精度、各資産の平均保有期間、賢明な予想に付与されるポイント、コミュニティによる株の買いと売りの評価も表示される。
だが、ソーシャルを採用することで、その最も良い面を引き出せるかもしれない。それはユーザーの若さとつながりの深さだ。ロビンフッドの顧客の年齢の中央値は30歳で、半数は初めて投資するという。アプリ内に頼るべき友人や専門家がいれば、納得して取引に踏み切れるかもしれない。
ほとんどのオンライン証券会社は、価格以外の点では差別化されていないと言えるが、ロビンフッドに対してユーザーが持つ親近感は、不格好で洗礼されていない競合他社が作り出せないものだ。満足しないユーザーはいつでも競合他社に走る可能性がある。ロビンフッドのユーザーはソーシャルネットワークに慣れ親しんでおり、コミュニティを捨てられないため、なかなか他社に乗り移らない。
プロファイルのプロダクトマネージャーであるShanthi Shanmugam(シャンシ・シャンムガム)氏に、これがソーシャルトレーディング機能の始まりになるのかと単刀直入に聞いてみた。同氏は、それは疑わしいという感じで質問には直接答えず、こう述べた。「投資家としての自分をどのようにアプリに反映するかを検討する過程で、他社のアプリをいろいろ見た結果、自分の人物紹介(プロファイル)のように感じられるデザインを採用するのが自然に感じられた。ユーザーが投資のアイデアを囲むグループを作るにはどうしたらよいか考えたとき、お気に入りの音楽アプリで目にするようなプレイリストがすぐに思い浮かんだ」
つまり、ロビンフッドの利益の源泉は、従来の競合他社のようにユーザーが維持する口座そのものからではない。大半の収益は、売り注文のフローと、ユーザーへの貸付の対価としての定額料金から得ている。ロビンフッドのユーザーは、月々定額料金を払ってロビンフッドゴールド機能に加入すると、取引に必要な資金を借りることができる。プロファイルとリスト、究極的には多くのソーシャル機能により、ユーザーはより多くの取引をするようになり、ロビンフッドにとって収益の源泉となる注文が増え、定額プランに加入するユーザーが増える。
「誰もがアクセスできるようにするには、手数料や最低金額などユーザーが直面する障壁を下げることが必要だ。自信のようなものだ。プロファイルとリストは金融を理解しやすく馴染みのあるものにする」とシャンムガム氏は言う。より多くのソーシャル機能が安全に構築され、より多くの安心感、取引、そして収益を生む。ロビンフッドはこれまで9億1000万ドル(約1000億円)を調達した。だが、新たにタッグを組んだモルガンスタンレー・Eトレード連合のような大規模な競合他社の手数料無料化にロビンフッドが対抗するには、プロダクトで勝る必要がある。
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(翻訳:Mizoguchi)