コンテンツ管理システムの定番であるWordPress(ワードプレス)は、今や意図しない方法で使用されることも多く、それがWordPressサイトのライフサイクル管理を複雑にしている。あらゆるセキュリティ上の問題を悪用してサイトを乗っ取ろうとするハッカーがいるからだ。Strattic(ストラティック)は、WordPressサイトをユーザーがページを見るたびにデータベースを照会しない静的サイトに変えて、サイト管理を簡単にすることを目指している。
イスラエル企業のStratticは2月26日、SignalFireとTenOneTen Venturesがリードするシードラウンドで650万ドル(約7億2000万円)を調達したことを発表した。ラウンドにはAccel、Automattic、Seneca VC、Eric Ries、Village Global VCも参加した。PHP 3とPHP 4の中核であるZend Engineを共同で作成したZeev Suraski(ジーブ・スラスキ)氏がCTOとして入社したことも発表した。
約13年前、StratticのCEO兼共同創業者であるMiriam Schwab(ミリアム・シュワブ)氏は、WordPressによるウェブ開発会社を創業した。WordPressは当時、個人のブログを運営するためのツールと見られていたが、時間とともにその見方は明らかに変化した。だが同氏が運営する代理店が顧客にサイトを引き渡した後も、顧客がメンテナンスを求めることがよくあった。Straticの根底にあるアイデアはその時の経験に基づいている。静的サイトジェネレーターを使用してそのプロセスを簡素化するというものだ。だがシュワブ氏は、それは必ずしもそれほどユーザーフレンドリーにはならないと指摘する。
「WordPressは今でも最良の選択肢だが、そうした大きな問題もある。だから、これら2つの世界を結婚させてはどうかと思った。WordPressはWordPressのままだが、我々がそれを静的なサイトジェネレーターに変える。それがStratticの最初のコンセプトだった」とシュワブ氏は筆者に語った。
「これは明らかに良いアイデアだった」と共同創業者でCOOのJosh Lawrence(ジョシュ・ローレンス)氏は付け加えた。「これは、もはやメンテナンスを行う必要がないことを意味する。サイトがハッキングされる可能性を99.99999%削減することをも意味する。どんなサイトであれ速くなる。そして完全にスケーラブルだ。こうしたことがすべてだが、機能する限り(そんな単純ではないが)、ビジネスの観点から結論は明らかだ」。
Stratticがあってもユーザーは普通にWordPressを使え、必要なときだけWordPressコンテナを起動する。これにより攻撃対象を大幅に減らすことができる。変更を加える時に静的サイトが生成される。静的サイトのロードは明らかに速く、攻撃対象も小さくなる。Stratticは、サイトを高速化するためにAWSのCDNソリューションも利用している。
チームは、調達した資金で製品チームを編成し、新しい機能を迅速に展開する予定だ。たとえば現在、Stratticで動作しないサイトがいくつかある。人気の高いWooCommerceシステムを使用しているサイトなどは、データベース接続を必要しているからだ。こうしたタイプのサイトをサポートすることが取り組むべき課題の1つだ。
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(翻訳:Mizoguchi)