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「ロボット」という言葉は人造人間による人類滅亡をテーマにした100年前の戯曲の中で生まれた

最大の山場は、ロボットが反乱を起こし、彼らを製造した工場を占拠する第3幕に訪れる。エピローグの前に人類はほぼ絶滅する。その待遇に業を煮やし、ロボットたちは彼らの創造主を殺めてしまう。たったひとり人間を残して。彼は同僚の労働者だった。

自分たちの繁殖を可能にする人間をひとりも残さなかったため、この判断は、最終的に彼ら自身をも破滅に追いやることにならないか。そうなるだろう。しかし、1対のロボットに人間性を見いだした最後の生き残りの男性は、聖書に語られている最初の男女と彼らを重ねる。それは、幕間にほぼ完了する人類の絶滅を目の前にした希望の兆し。2体のロボットが舞台を去ると、生き残りの男が最後の言葉を口にする。「アダム……、イブ」

その70年後に発表された別の教訓的なSF作品の台詞を借りるなら「Life finds a way」(生命は生きる道を自ら見つける)だ。

これは、寓話に人工の恋人たちを織り込んだある戯曲の最後の教訓だ。その戯曲とは、100年前に出版された(そして99年前の先月に初上演された)、チェコの作家カレル・チャペック作「R.U.R」(ロッサム万能ロボット会社)だ。「ロボット」という言葉をSF界に、そして日常の言葉として広めたことでよく知られる作品だ。初期のSF小説には確固たる政治思想を吹き込んでいた彼の作品は、ノーベル賞に7回ノミネートされているが、中でもこれは重要なひとつになっている。

チャペックが使った「ロボット」という言葉は、古代教会スラブ語の「robota」(ロボタ)が語源になっている。これは、「強制労働」転じて「労働者」と訳すことができる。「この単語は、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語、チェコ語にも同語源語があります」と、歴史学者 Howard Markel(ハワード・マーケル)氏は、2011年に米ナショナル・パブリック・ラジオのインタビューで解説している。「これはまさに、借地人が地代を強制労働や奉仕で支払わされていた中央ヨーロッパの農奴制の産物です」

ロボットと強制労働を結びつける考え方は、そしてそれに伴いロボットが反乱を起こすというイメージは、少なくともロボットという言葉が生まれた時代に遡る。つまり「人間を皆殺しにしろ」は、アニメ「Futurama」(フューチャーラマ)のベンダーが初めて言ったことでも、Boston DynamicsのBig DogのYouTube動画のコメントで初めて書かれたわけではない。そうではなく、その名を与えられ初めて世間一般が知ることとなったロボットが、不当な搾取にあえぐ労働者の手に力を取り戻そうとしたときだ。必要とあらばどんな手段も辞さない覚悟で。

人類のロボティクスの起源は、数世紀前にあると一般に認識されている。ギリシャ神話やユダヤの伝説に登場するゴーレムといった古代文化だ。だが、チャペックこそが現在でも使われてる言葉を私たちに残してくれた人物だ。

もちろん、チャペックのロボットは現代私たちが関わっているロボットよりもずっと人間的だ。むしろそれは「人の形をした」という意味のギリシャ語に起源を持つ古い言葉「アンドロイド」と表現したほうが通じるかも知れない。R.U.R.のロボットは、人工の肉体から作られた生命体だった。最後には、彼らが地球を受け継ぐ。

「芝居が幕を開けると、そこはその当時から数十年先の世界で、工場はすでに、秘密の製法で作られた何万、何百万もの、魂も意欲も感情も持たない人造の労働者、生きるカラクリで満ちている」と公式の「ストーリー解説」には書かれている。「彼らは優れた能力を持つ労働者で、働くこと以外に取り柄がない。未熟と熟練の2つの階級に分かれていて、必要に応じて、労働者には特別な訓練が施される」。

おおよそ西暦2000年が舞台となっているこの戯曲は、「ブレードランナー」や、その話の元にもなった題材よりも数十年も前に、人間性とは何かという問題と格闘していた。彼らが抹殺した創造主である人間の灰の中からではあるが、ピノキオと「オズの魔法使い」のブリキ男との間のどこかで、なんとか人間性らしきものを獲得しようとするロボットを描いている。おそらく、1920年の基準ではハッピーエンドだったのだろう。

ロボティクスについて詳しく知りたい方は、3月3日にカリフォルニア大学バークレー校で開かれるTechCrunchのイベントへチェックしてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

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