イギリスのリサーチチームは、ヴァーチャルリアリティ空間を自宅でのリハビリテーションのための運動に役立てられる可能性があるという研究結果を発表した。
・VR空間で仮想アバター療法士がガイダンス
リハビリテーションを必要としている患者の多くは、自宅でも定期的な運動を行う必要がある。しかし、病院の外では患者は運動についての的確な指示を受けることが難しく、この状況は運動が正しく行われなかったり、運動の繰り返しによる倦怠感からの治療効果の低下につながる可能性があるという。
今回の研究では、研究者らはヴァーチャルリアリティ空間に、仮想アバター理学療法士を登場させ、アバターの療法士が運動のガイダンスを提供し、患者がその動きを模倣できるかを調査した。
・リハビリへ導入することへの可能性
実験の中で参加者は、VRヘッドセットを通して見たアバターとステップのタイミングを合わせるように指示された。その過程で、研究チームは、参加者に伝えることなくステップのスピードを遅くなるよう調整し、参加者がタイミングを合わせるために自身のステップのスピードを調整する必要がある環境を作り出した。
この結果、視覚情報のみのガイダンスだった場合、参加者はタイミングを合わせることに苦労したが、視覚情報に加え足音を追加すると、参加者はアバターを正確に追従することができた。これは現実的な多感覚情報が影響をもたらした結果だという。
この結果から研究チームは、「ヴァーチャルリアリティのテクノロジーは、リハビリのための運動のガイダンスを提供するだけでなく、運動をより面白くするために使用できる可能性もある」との見解を示しており、またデジタルソリューションが、理学療法の分野や患者のリハビリテーションに利益をもたらすことも指摘している。
日本国内でも、実際にリハビリテーションにVRを導入し始めている病院もあり、患者だけでなく職員の心理的な負担軽減にも効果があったといった結果も発表されている。今後、リハビリテーションへのVRの導入はますます増加していくと予想される。
- Original:https://techable.jp/archives/118862
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:kawaguchiasuka