こうしたなか、バーゼル大学の研究者が抗コロナウイルス薬の開発に有用なデータの公開に踏み切った。
おそらく独自に研究を進める手もあったかと思うが、現状では特許取得よりもパンデミックの収束が優先。世界中の研究グループがテストで活用できるようなやり方を選んだようだ。
・ウイルスの酵素の働きを阻害する物質を特定
ChemRxivによれば、研究者が公開したのは、新型コロナウイルスが増殖していくうえで重要な役割を果たす酵素(プロテアーゼ)に関するもの。このプロテアーゼの働きを阻害できれば治療につながる。
候補を見つけるために、ライブラリ中の6億8700万を超える化合物をコンピューター上でスクリーニングしたようだ。新型コロナウイルスのプロテアーゼ阻害剤に関する、この規模のスクリーニングは初めてだという。
主要なプロテアーゼの働きを阻害する可能性のある物質が絞り込めたようで、抗コロナウイルス薬の開発に近づいたことになるだろう。
・60日以内に抗体を適用できるようにする取り組みも
ただ、既存の薬剤を利用するのでなければ、いくらスピード感をもって開発が進められたとしても、ヒトへの適用はかなり先になる可能性もある。
応急処置としては、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)による「Pandemic Prevention Platform(P3)」なんかの取り組みに期待がかかる。同プログラムは、感染後に回復した患者から採取した抗体をもとに、60日以内に抗体を生成して優先順位の高い患者や医療従事者に適用できる体制をつくるものだ。
いずれにしても、こうして適用される抗体は一時的な効果しか発揮しないようなので、安全性とのバランスをとりつつも、最速で抗コロナウイルス薬が開発されることが望ましい。
参照元:Inhibitors for Novel Coronavirus Protease Identified by Virtual Screening of 687 Million Compounds/ ChemRxiv
Pandemic Prevention Platform (P3)/ DARPA
- Original:https://techable.jp/archives/119103
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji