おそらく現在は多くの人が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックについて思いを巡らせていることだろう。だがそれ以外の健康課題が消え去ってしまったわけではないことへの注意も大切だ。心臓病は今でも米国における主な死因であることには変わりがない。
Heartbeat Healthは、心臓血管ケアの提供方法の改善に取り組んでいるスタートアップだ。米国時間3月12日、同社はシリーズAで820万ドル(約8億8500万円)を調達したことを発表した。
同スタートアップの共同創業者でCEOのJeffrey Wessler(ジェフリー・ウェスラー)博士は心臓病専門医だ。彼が約3年前に「アカデミックな心臓病の道を外れた」理由を、私に対して次のように語ってくれた。「デジタルヘルスの世界で行われている仕事を見る機会があったのです。それ以来、心臓の健康のために、その世界へ自分でも信じられないほどの勢いでのめり込みました」
ウェスラー博士は、心臓血管ケアの提供方法はほとんど変わっていないと語った。既存の方法は役に立つもので、それが現状維持が続く大きな理由であるのは事実だが、それでも改善の余地はあると言う。
「ここ7年ほどの間に、一度病気をしてしまった人びとを、どのように上手く扱えばいいのかわかってきたのです。新時代に入ったのです」と彼は語る。「しかし、そうした患者の方々の健康を保つという意味では、私たちの現在のやり方はまったく上手くいっていないのです」
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この問題にアプローチするために、Heartbeat Health は、ウェスラー博士が「デジタルファースト」レイヤーと表現するものを開発し、患者が遠隔医療を通して専門家に相談できるようにした。この相談を通して、患者は個人的に適切な治療機関(「Heartbeat推奨パートナー」である場合も、そうでない場合もある)へと誘導されることになる。
この最初のやりとりを通すことで、患者は「多くの無駄」を避けることができると博士は言う。なぜなら患者が不適切な場所へ行くことがなくなるからだ。そして「ミスマッチした医師の、個人的なやり方に身を任せるのではなく、エビデンスとガイドラインに沿った検査に基づいて、正しいケアを始めることができる」ようになるのだ。
さらにHeartbeat Healthは、患者に関連するすべての心臓のデータ(Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルデバイスから記録したものかもしれない)を1カ所で収集し、どの治療が最も効果的かに関する結果を追跡しようとしている。
「最終的に私たちは、すべてを支えることができるソフトウェアやテクノロジーを実現したいと考えていますが、そもそも最初の段階で患者を置き去りにしたくありません」とウェスラー博士は語る。
さらに彼は、このプログラムはほとんどの健康保険で扱うことができ、すでにニューヨーク地域の1万人患者の治療に関与していると付け加えた。そしてウェスラー博士によれば、どうやらこのシステムは心臓病専門医たちに受け入れられており、口々に「私たちは信じられないほど分断されたシステムが、こうしたレイヤーによって、便利なかたちで統合されるのを待っていました」と博士に話してくるという。
今回のラウンドは406 VenturesとOptum Venturesが主導し、Kindred Ventures、Lerer Hippeau、Designer Fund、そしてMax Venturesが参加している。
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画像クレジット: Heartbeat Health
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(翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/03/14/2020-03-12-heartbeat-health-series-a/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha