AP通信によると、新型コロナウイルスのワクチンの人間への臨床試験が、米国時間3月16日に開始される。今回の試験は、NIH(米国立衛生研究所)と医薬品メーカーのModernaが開発した実験的なワクチン注射の効果をテストするもの。一般的なワクチンのように、活性なウイルス、あるいは非活性化したウイルスのサンプルを使ったものではない。その代わりに、ウイルスの遺伝子に含まれるメッセンジャーRNAを利用して、ターゲットの免疫反応を引き出そうというものだ。
Wall Street Journalは、2020年2月にModernaが開発中のワクチンについて報告している。同社は、このような遺伝子ベースのアプローチによる薬剤治療法の開発を主業務として設立された、比較的若い会社だ。当時の報告では、テストは4月に開始される予定とのことだったが、2月末から現在までの世界的な状況の変化を考慮して、スケジュールが前倒しされたようだ。とはいえ、公衆衛生当局によると、例え今回の治験で効果が実証されたとしても、ワクチンの最終的な検証には、少なくとも1年から1年半はかかるとのことだ。
COVID-19が突きつける継続的な脅威に対処するために、ワクチンを開発しようという試みは、もちろんこのModernaとNIHによる取り組みだけではない。ワクチンと治療法の両方で官民を問わず、多くの取り組みが進行中だ。今回のテストは、ヒトを対象にした臨床試験プログラムとして迅速に対処されたものとなる。
治験者は、実際にはウイルスを注射されるわけではないので、今回のテストプログラムでCOVID-19に感染するリスクはない。ただし、このプログラムにボランティアで参加しているとされる45人のように、若く健康な治験者でさえ、新たに開発されたワクチンを注射するとなれば、まだ知られていないことが多く存在する。この段階で、NIHとModernaは開発中のワクチンが望ましくない、あるいは危険な副作用を引き起こさないことを確認することを目指し、その後、有効性や別の他の安全性を証明するため、さらなるテストが必要となる。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)