スポーツの試合を生で観に行ったことはありますか?
勝負という性格を持ち合わせるスポーツは、応援によって大きな音が響き渡り、大人たちからヤジが飛ぶこともしばしば。演出のために音や光で会場をあおったりもします。
一方、生観戦の魅力でもある臨場感は、人より感覚が敏感な発達障害の子供たちには逆に大きなハードルになってしまうことも。
そんな発達障害の子供たちにサッカーを楽しんでもらおうと、民間企業3社と川崎市、チーム、サポーターが協力しました。
全ての人にサッカーを楽しんでもらうために
プロジェクトが行われたのは2019年の7月27日、川崎市の等々力陸上競技場で行われた、サッカーJ1リーグの川崎フロンターレ vs 大分トリニータの試合です。
参加した会社はJTB、ANA、富士通。そして共生社会ホストタウンである川崎市、医者や専門家、試合を行った両チームとサポーターたちです。
川崎市と大分市在住の発達障害のある子供たちとその家族を対象に企画、実施されました。
このプロジェクトの発端は、川崎市のシンポジウムの登壇者として出会った、各企業のメンバーの中で生まれたアイデア。
観戦するまでの取り組みをそれぞれ紹介していきます。
移動のサポート
子供たちの移動担当はANA。飛行機での移動やツアー中の移動を主にサポートしました。
大きな音や振動を要因に、子どもたちにとって飛行機は縁遠いもの。移動時の選択肢が広がることで移動に対する見聞も広めることができ、今後遠出する時に向けての助けにもなります。
子供たちの気持ちを知るために
JTBは子供たちの特性とそれに対する配慮の仕方を学習、子供たちの気持ちを理解するため、運営スタッフに向けて心のバリアフリー研修を実施しました。
また富士通はより発達障害にVR映像を作成。理解が難しい発達障害がどのように感じるかを体感できるようにしました。
いよいよ観戦!
スタジアムに到着。いよいよ観戦です!
スタジアムではクラブやJリーグ関係者、それに大分トリニータのマスコットキャラクター『ニータン』が子供たちをお出迎え。
サポーターたちも、子どもたちに向けて横断幕で観戦に来た勇気をたたえました。
子供たちは彼らのために川崎市が用意した「センサリールーム」で観戦します。
ガラスで仕切られ、防音効果があり、大きな音や眩しい光、人混みが苦手なひとでもここでは落ち着いた環境で観戦できます。
試合が始まると、みなそれぞれの方法で楽しみました。窓に張り付いて試合を見る子や、ずっと気持ちを落ち着かせるカームダウンルームにいる子、試合をまったく見ない子もいました。
なお、富士通では日記を簡単に書くことができるアプリ、きもち日記を開発。
自分を表現することが苦手な子供が多いため、日記をつけることで思い出を残しやすくしました。
翌日にはサッカー教室
試合が行われた翌日の7月28日、川崎フロンターレは発達障害のこどもたちに向けてサッカー教室を開催しました。
人よりうまくできないことがさらに自分を追い込んでしまう子供たちにとって、プロのサッカー選手とふれあった、経験は大きな意義がありそうです。
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発達障害の子供は全国およそ48万人と言われています。見た目からはわかりにくいことからその多くは認知されていません。
そのため、本人とその家族が日常において色眼鏡で見られたり、しつけがなっていないと言われることが多く、外出や旅行をためらうケースが多いと言われています。
このプロジェクトは発達障害の子供たち、そしてご両親たちに勇気を与えました。
スポーツや文化運動に誰でも参加できることは、社会では当たり前のこととして考えられがちです。このプロジェクトはそれが当たり前ではないと社会に気づかせ、プロジェクトを通して発達障害の子供たちにとっての「特別」を「当たり前」に近づけました。
それぞれの得意な部分で協力しあって子どもたちに貴重な経験をプレゼントしたこのプロジェクト。お金だけでは得がたい、たくさんの意義がありそうです。
CREDIT
Videographer:大村宗資
Writer:kaho.miyazaki,大村宗資
Curator:大村宗資
SNS:にしまり、
Cast:——
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- Source:bouncy / バウンシー
- Author:大村宗資