NASAは3月27日、ルナ・ゲートウェイへの機器の材料、貨物、補給品の輸送を請け負う初の宇宙物流企業としてSpaceX(スペースエックス)を選定したことを発表した。つまりSpaceXは、月軌道を周回して、将来の有人月面ミッションの基地となるプラットフォームと地球との間を往復して物資を輸送する必要が生じたときに、NASAが業務を発注する企業のひとつに加えられたわけだ。
今回の契約により、SpaceXは事実上、月に人類を常駐させる科学調査基地の設置を目指すNASAのアルテミス計画で重要な役割を果たすだけでなく、さらに火星へと足を伸ばそうとするNASAの計画にも参加できることになった。ゲートウェイの建設はこれからだが、NASAでは新しい専用の宇宙船でゲートウェイに貨物を運搬し、6カ月から12カ月滞在するというミッションを複数計画している。
トータルの契約金は、契約全体で最大70億ドル(約7500億円)に達し、1つの企業につき少なくとも2つのミッションが保証される。他の企業もこれから指名されるはずだが、SpaceXは契約に基づいて選定された最初の企業となった。なお同社は、地球の軌道を回る国際宇宙ステーションへ同社のDragon(ドラゴン)輸送船を使った通常の物資の輸送については契約済みだ。
SpaceXは、このミッションに使用する予定のDragon宇宙船の派生型DragonXLを打ち上げることにしている。DragonXLは、月の軌道を回るゲートウェイ宇宙ステーションに5トン以上の物資を輸送できる。打ち上げには、SpaceXが保有しているFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)ロケットが使われる。
実際に最初のミッションが打ち上げられるまでには、まだ少し時間がかかりそうだ。最初のゲートウェイ用モジュールを載せて打ち上げられるのが早ければ2022年となっているものの、ゲートウェイがある程度のかたちになり定期的な貨物輸送が始まるのは、そこからほんの数年後だろう。
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(翻訳:金井哲夫)