デビューから9年たってやっとデスクトップにFacebook Messengerアプリがやって来た。デスクトップブラウザを使った音声とビデオ通話が2倍以上に増えたことを受けて、4月2日、MessengerはMacとWindowsのデスクトップアプリをリリースした。
アプリ版の機能はブラウザ版と同じだが、ブラウザでタブを多数開くとMessengerを見つけるのが面倒だった。独立のアプリであればチャットの管理がずっと容易になる。「我々は物理的に離れていても一緒にいるためのさまざまな方法を探している」とFacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は書いている。
こういう大きな影響を与えるアプリがいきなりリリースされるのは異例だ。FacebookがMessengerのデスクトップアプリを開発することを発表したのは、1年前のF8カンファレンスだった。 しかし新型コロナウイルスのために今年のF8がキャンセルされた一方、ユーザーはMessengerのデスクトップアプリを今すぐ必用としていることが明らかだった。それらを考えると大がかりなプレスイベントなしでアプリがリリースされたのは理にかなっている。先月、Mac版がベータテストされているのが発見された。 Windows版は2011年に短期間公開されたもののすぐに削除されていた。
現行のFacebook Messengerの最大の欠点は、グループビデオ通話の参加者が最大8人に制限されていることだろう。最近セキュリティ上の問題が報じられているものの人気のあるZoomなら100人でも(それだけの参加者がいれば500人でも)処理できる。つまり新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によるリモートワークが急速に普及し始めてから現われた新しいユースケースの一部をMessengerはサポートできない。またセッションに参加するためのURLを他の人と簡単に共有する方法もない。つまり公開のウェブセミナーや参加者多数の会議などのソーシャルイベントで用いることは想定していない。
これ以外にも画面共有機能がないことも目立つ。コンピュータで自分が見ているものを相手に示すことができないとビジネスのユースケースでは非常に不便だ。またフォトアルバムを見せることもできない。企業向けFacebookのWorkplaceのデスクトップのチャットアプリには画面共有機能がある。将来はMessengerにもこの機能が追加されべきだろう。
新型コロナウイルスのためにロックダウン状態になるとチャットアプリは仕事を進めるための連絡から大きな会議まで既存の人間関係をベースにしたもっとも重要なコミュニケーションプラットフォームになる。これまでのように対面の会話をオンラインで補強するというだけでは足りない。今後のチャットアプリは人間のコミュニケーションを全面的にサポートするものでなければならない。
【Japan編集部追記】トップのWindows版リンクは日本のMicrosoftアプリストアに差し替えてある。ダウンロードにはMicrosoftのパスワードが必要。HDDの場合、アプリを閉じると再立ち上げに数秒かかる。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)