2016年にスタートしたルノーF1チームとのパートナーシップ
ベル&ロスは1992年にフランスのパリで創業したブランドだ。1997年にファースト・コレクションとなる「ヴィンテージ」を、2005年にはスクエアケースとラウンドのダイアルを組み合わせた「BR01」をそれぞれ発表。なかでも「BR01」に代表される、航空計器に着想を得たインストゥルメント・コレクションは、その後のベル&ロスにおけるアイコンとなった。
フランスを拠点とするブランドだけに、ルノーF1チームとのパートナーシップは必然とも捉えられるだろう。しかしその一方で、航空計器にインスパイアされたコレクションを展開するベル&ロスとF1との融合は、やや意外性を感じさせる。
ベル&ロスがルノーF1チームとのパートナーシップを結んだのは2016年のこと。それは、創業以来ブランドが作り上げてきた航空計器モチーフのイメージを刷新すべく実施されたものだ。当時、ベル&ロスのCEOであり共同創業者のひとりであるカルロス・A・ロシロ氏は次のように語っている。
「ルノーF1チームとベル&ロスは、メカニクスの限界を押し上げるという共通の目標を持っており、それは限定モデルでよく表されている。このパートナーショップはとてもエキサイティングでやりがいのあるものなのです」
このコメントとともに発表されたコラボレーションモデルの第1弾が「BR-X1 R.S.16」と「BR-X1 R.S.16 トゥールビヨン」の2モデル。スクエアケース×ラウンドダイアルというインストゥルメント・コレクションのデザインコードを踏襲しながらも、R.S.16マシンにインスパイアされたイエローのアクセントカラーやフォージドカーボン素材のケース、時計のメカニズムを可視化するオープンワーク・ダイアルを採用し、なんともレーシングの雰囲気を感じさせるタイムピースに仕上がっている。
このコラボレートはその後も継続。翌2017年発表の「R.S.17」ではF1マシンのステアリング・ホイールに着想を得たマルチカラーを採用し、続く2018年はシャシーからインスピレーションを受けた「R.S.18」を、2019年はF1コックピットのボタンに用いられるグリーンやレッド、オレンジといったビビッドカラーを施した「R.S.19」をそれぞれ発表した。
重要なのは“インスピレーション”が湧くデザイン
そして、パートナーシップ締結5周年の節目を迎えた2020年にアナウンスされたのが「R.S.20」だ。新コレクションが着想を得たのは2020年のルノーF1チームのマシン「R.S.20」と、コンセプトカー「R.S.2027 Vision」のふたつ。これをモチーフとした全4モデルのコレクションはいずれも、ブラック×イエローのカラーリングに加え、ルノーF1チームで採用しているタイポグラフィやチェッカーフラッグを想起させる目盛りなど、これまで以上にレースの雰囲気を強めたタイムピースとなった。
ベル&ロスがルノーF1チームとのパートナーシップを続けているのには理由がある。これまで同ブランドは、航空計器にとどまらない幅広いソースをデザインのインスピレーションとしてきた。なかでもユニークなのが、「B-ロケット」や「エアロGT」「ベリータンカー」「BR-バード」といったレーシングマシンやエアレース機などの機体で、これらをモチーフにした時計もリリースしている。しかも時計製作のために外部から専門家を招き、オリジナルのマシンを企画・設計しているというのだから驚く。
それは、ベル&ロスのもうひとりの共同創業者でクリエイティブ・ディレクターを務めるブルーノ・ベラミッシュ氏が、空想の産物からはインスピレーションを受けないからだという。つまり、実在するものや実際に製造できるものだけが、ベル&ロスのデザインソースとなっているのだ。2019年、ベラミッシュ氏は筆者のインタビューにおいて次のように答えている。
「“インスピレーションを感じさせるもの”であることが重要なのです。飛行機やバイクはもちろん、ルノーF1チームのマシンもインスピレーションが湧くデザインだと思っています」
毎年繰り出されるR.S.コレクションはいずれも、モータースポーツ・ファン以外の琴線にも触れるスポーティかつ斬新なデザインであり、次のコレクションがどのような仕上がりになるのか、つい期待してしまう。両者のコラボレートは時計のデザインをさらに昇華させるための重要なピースなのだ。
ベル&ロス
BRV3-94 R.S.20
52万8000円
ベル&ロス
BR03-94 R.S.20
82万5000円
ベル&ロス
BR-X1 R.S.20
269万5000円(予価)
ベル&ロス
BR-X1 トゥールビヨン R.S.20
2145万円(予価)
問ベル&ロス ジャパン●03-5977-7759
https://www.bellross.com/ja
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000123239/
- Source:デジモノステーション
- Author:竹石祐三