新型コロナウイルスによる仕事の制約は、火星での作業にも影響を与えているようだ。NASAのジェット推進研究所(JPL)のマーズローバーチームは、リモートでの「キュリオシティ」の操作を余儀なくされている。
最先端の職場にいるはずの彼らも、頼りになるのは我々と同じテレビ会議とチャット。そして、同居人によるノイズや運動不足といった課題も、変わりなく存在するようだ。
・4つのテレビ会議に同時にチェックイン
探査ローバーの操作はもともとリモートでは……と考えるかもしれない。だがチームでの開発やテスト、データの共有などは1つの部屋で行われてきた。リモートで外部の研究者らとチャットで仕事することは珍しくなかったが、今回すべてがリモートになったことで、メンバーは常に数十のチャットチャンネルを監視し、4つのテレビ会議に同時にチェックインすることもあるのだという。
チームのメンバーや科学者、エンジニアとのコミュニケーションギャップを埋めるのにも多大な労力を要する。
・高性能なコンピューターなしで作業
ハードウェアによる制約もあり、例えば特殊なゴーグルに火星の3D画像を表示するための高度なグラフィックカードが利用できない。このためオペレーターは、シンプルな3Dメガネを利用してロボットアームをどれだけ伸ばせるかなどを分析している。
メンバー全員の理解のもと作業を進めるのに、通常よりも時間がかかり、1日に送信できるコマンド数にも制約があるという。
こうしたさまざまな制約にもかかわらず、チームは生産性高く作業を進め、2日後にはキュリオシティによる岩石サンプル掘削を成功させた。チームが完全に離れてのローバー運用はこれが初めてで、成果はメンバーの能力と新型コロナを乗り越えようとの意思のたまものに違いない。
参照元:NASA’s Curiosity Keeps Rolling As Team Operates Rover From Home/ JPL
- Original:https://techable.jp/archives/121824
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji