【特集】即買いヒットアイテム
定額で音楽を聞けるストリーミングサービスに、2019年秋、ハイレゾバージョンが相次いで登場した。手軽さと高音質を両立したこれらのサービスは、リスニングスタイルに新たな潮流を巻き起こしそうだ。
【教えてくれた人】
AVライター 折原一也さん
PC系出版社の編集職を経て、独立。オーディオ・ビジュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌などで、トレンド解説や製品のレビューなど多彩な記事を執筆。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務めている
■手軽にハイレゾ音源を楽しめる
現在、音楽を聞くスタイルの主流といえば、定額の音楽ストリーミングサービス。日本では2015年頃から浸透してきたが、ここに昨年、新たなサービスが加わった。
「Amazon Music HD」と「mora qualitas」で、どちらもCD音質以上の高音質楽曲が定額で聞き放題になる、いわばハイレゾ版音楽ストリーミングだ。両者の特徴をAVライターの折原一也さんは次のように説明する。
「Amazon Music HDは幅広い層を対象にしている印象で、楽曲数や対応デバイスの豊富さを売りにしています。mora qualitasは、音楽配信の老舗moraが提供するだけあって、音楽にこだわるファンに向けたサービスと言えます。数値上の音質はほぼ同じなのですが、個人的にはmora qualitasの方が高音質に感じますね」
どちらもPCやスマホで専用アプリを使って聞くのが基本だが、他の対応機器も増えてきた。
「PCやスマホとUSB DAC、ハイレゾ対応スピーカーやヘッドホンの組み合わせがオススメめですが、携帯プレーヤーやスマートスピーカーの対応モデルも登場しています。機器を選べる環境も整ってきました」
月額基本料金は2000円程度と従来のストリーミングサービスよりは高いが、音のクオリティは間違いなく上。最新曲も充実しているので、好みの曲で従来のサービスと聞き比べてみるのもいいだろう。
▼超高音質楽曲を含め6500万曲以上を用意
「Amazon Music HD」
Amazon Prime MusicやAmazon Music Unlimitedの高音質版として、 2019年9月にスタート。2種類の音質(HDとUltra HD)を用意し、Dolby Atmosなどの立体音響に対応する楽曲も配信している。Amazonデバイスをはじめ対応する機器が豊富で、 Amazon会員を対象とした複数の料金プランを用意するところも特徴だ。
【主な対応デバイス】
●Fire TV、Fireタブレット
●Alexa対応のEcho端末(第2世代以降)
●Android端末(2014年リリース以降のモデル ※Android Lollipop以降)
●iOS端末(2014年リリース以降の大半のiPhone、iPad ※iOS 11以降)●PC(2013年発売以降のMac。Windowsはモデルにより異なる)
※対応デバイスは、機器ごとの仕様によって利用できないものもあります。
【DATA】
●料金プラン:月額1980円(個人プラン・1アカウント)/月額2480円(ファミリープラン・最大6アカウント)※プライム会員は個人プランが年1万7800円、ファミリープランが年2万4800円
●フォーマット:FLAC
●音質:HD(44.1kHz/16bit)、Ultra HD(192kHz/24bit)
●ハイレゾ楽曲数:6500万曲(Ultra HDは数百万曲)
▼高音質の邦楽曲や独占タイトルが充実
「mora qualitas」
2019年11月にmoraの高音質ストリーミング配信サービスとしてスタート。配信楽曲数は非公表だが、最新のJ-POPをはじめ多彩なジャンルの楽曲を配信している。スマホ用アプリでは、データ通信容量に応じた再生設定が可能。音楽に関する記事やユーザーのプレイリストを公開するコミュニティサイトも用意する。
【主な対応デバイス】
●Android端末(Andorid 7.0以上 ※ビットパーフェクト非対応)
●iOS端末(iOS 11以降 ※DAC使用時にビットパーフ ェクト対応)
●PC(Windows 10<64bit>、 MacOS High Sierra 10.13以降)
※対応デバイスは、機器ごとの仕様によって利用できないものもあります。
【DATA】
●料金プラン:月額2178円
●フォーマット:FLAC
●音質:24bit/44.1~96kHz/16bit/44.1kHz
●ハイレゾ楽曲数:非公表
<こだわり派注目の「排他モード」とは?>
PCやスマホの音声出力機能の中で、音楽アプリのみに出力を限定するモード。両サービスともこれに対応していて、設定を限定することで本来の音質で出力できるようになる。
■ハイレゾストリーミングを満喫できる高音質オーディオ機器10選
ハイレゾストリーミングサービスは、PCやスマホのアプリを使うのが基本だが、他にも対応機器が登場し始めている。また、高音質再生にはアンプやヘッドホン選びも重要だ。
1. ステレオ再生にも対応するコンパクトなネットスピーカー
デノン
「DENON HOME 150」(実勢価格:3万2000円前後)
サードパーティ製デバイスではAmazon Music HDに初めて対応。老舗メーカーらしいクリアな音を楽しめます(折原さん)
Amazon Music HDに加え、AWA、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスや、 Bluetooth接続に対応するネットワークスピーカー。 HEOSテクノロジーの専用アプリによる設定や操作がスムーズ。Amazon Alexaの音声操作にも対応する。
2. コンパクトボディにフルレンジスピーカーを内蔵
ソニー
「SRS-HG10オープン(実勢価格:2万5000円前後)」
コンパクトながら多彩な機能を備えるWi-Fiスピーカーです。mora qualitasの利用ではPCとのUSB接続がオススメです。(折原さん)
コンパクトなハイレゾ対応ワイヤレススピーカー。Google Play MusicやAWA、TuneInなどの音楽配信/ネットラジオに対応するほか、Spotifyの音楽を受信して再生できる。Googleアシスタントによる音声操作も可能だ。
3. 音声操作でパワフルかつ奥行きのあるサウンドを再生
Amazon
「Echo Studio」(2万4980円)
Amazon Music HDと同時にリリースされた、まさにこのサービスのためのデバイス。立体音響フォーマットにも対応しています(折原さん)
スマートスピーカー、Echoシリーズの最上位モデル。24bit、帯域幅100kHzのパワーアンプを搭載し、Amazon Music HDの高音質なロスレスオーディオを再生可能。設置環境に合わせて最適な音質に設定する機能も備える。
4. 高音質パーツを凝縮した小型プリメインアンプ
デノン
「PMA-150H」(実勢価格:9万5000円前後)
定番アンプの新モデルで、音にこだわるマニア向けとも言える製品。既存のハイレゾスピーカーにプラスするのもオススメです(折原さん)
USB DACやネットワークプレーヤー機能も備えるプリメインアンプ。スピーカー1台につき、ふたつのパワーアンプで駆動するBTL構成を採用。圧倒的な駆動力でクリアかつパワフルな音を生み出す。Spotifyなどの受信も可能だ。
5. 多彩なモデルに対応するDAC内蔵ヘッドホンアンプ
ソニー
「TA-ZH1ES」(30万5800円)
最高級ヘッドホンアンプで、ハイエンドユーザー向けです。USB DAC機能を備え、PCとの組み合わせでも活躍します(折原さん)
高級ヘッドホンを強力に駆動できる、据え置き型のUSB DAC内蔵ハイエンドヘッドホンアンプ。前面にバランス出力対応のXLR4、4.4mm 5極、ステレオミニ端子などを備え、多彩なヘッドホンに対応する。
6. 音質も操作性も優れた小型Androidプレーヤー
SHANLING
「M6」(実勢価格:5万7000円前後)
Amazon Music HDのアプリに正式対応したモデル。バランス接続用の2.5mmと4.4mmの端子を装備するところも特徴です(折原さん)
Android OSを搭載した小型オーディオプレーヤー。PCMは768kHz/32bitまで、DSDは5.6MHzまでのネイティブ再生をサポートし、DSF/DFF、FLACなど多彩なフォーマットに対応する。内蔵ストレージは32GB。
7. クリアなサウンドを楽しめるハイコスパモデル
HiBy
「R5」(実勢価格:4万5000円前後)
バランス出力4.4mm端子を搭載し、高音質で聞く条件が揃っているプレーヤーです。コストパフォーマンスも優れています(折原さん)
コンパクトなAndroid OS搭載プレーヤーで、Amazon Music HDのアプリに対応。DACチップをデュアルで搭載し、アンプ回路も最適化することで、1040mW×2chの最大出力を実現。3500mAhの大容量バッテリーを内蔵する。
8. スマホにもPCにも対応する超小型DAC内蔵アダプタ
iBasso
「DC01」(実勢価格:7000円前後)
スマートフォンとヘッドホンで手軽に高音質を楽しみたい人に適したアイテム。手頃な価格も魅力です(折原さん)
重さがわずか11gという、非常にコンパクトなUSB DACアダプタ。384kHz/32bitのPCMと、DSD 11.2MHzまでのネイティブ再生に対応し、手軽にパワフルで滑らかな高音質が楽しめる。
9. ハイレゾを気軽に持ち出せるストリーミングウォークマン
ソニー
「ウォークマン NW-A100」(実勢価格:3万5000円前後~)
ストリーミングに対応したウォークマンで、mora qualitasはアプリを使って手軽に楽しめます(折原さん)
Android OSを搭載し、ストレージ内の楽曲だけでなく、mora qualitasやSpotifyなどのストリーミング再生にも対応。 AIを活用した圧縮音源のアップスケーリング機能も備える。内蔵ストレージ16GB、32GB、 64GBの3種類を用意。
10. ノイキャンと内蔵DACでワイヤレスでも高音質
ソニー
「WH-1000XM3」(実勢価格:3万5000円前後)
高音質コーデックのLDACに対応し、ワイヤレスでハイレゾ再生するにはうってつけのヘッドホンと言えます(折原さん)
高性能なノイズキャンセル機能を搭載したBluetoothヘッドホン。DACとヘッドホンアンプ機能も備え、ワイヤレスでも高音質で再生できる。Bluetoothコーデックは、SBC、aptX、aptX HD、 LDAC、AACに対応する、
※2020年4月6日発売「GoodsPress」5月号掲載記事をもとに構成しています
取材・文/高橋智
- Original:https://www.goodspress.jp/features/289870/
- Source:&GP
- Author:&GP