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5800円で超お得!たった30分で組み立てられる簡単ロケットストーブの威力がすごかった

<&GP自作部>

セルフビルドした自宅では薪ストーブ。愛犬とキャンプに行けば焚き火でBBQ。秋から春にかけては焚き火三昧の生活を送っているものの、そろそろ自宅で薪ストーブを焚くには暑くなってきたし、最近はなかなか出かけられない日々が続いているので焚火ともご無沙汰。

なんとなく悶々とする毎日の中、何か面白い焚き火アイテムはないかと探していたら、自宅の庭で使うのにちょうど良さ気なものを発見!

某大手通販サイトで年間500キットを売り上げるという焚き火アイテム、その名もLIFTOFF『「焚火缶」自作キット』(5800円)です! なんともしゃれたネーミングに惹かれてさっそくポチると、翌日には早くも到着したのですが…。

■箱から出して30分!組み立てはアッという間だった

届いたのは思っていたよりはるかに薄い包み…。こんなもので本当に焚き火ができるのかと少し心配になりながらパッケージを開いてみると、数枚の金属パーツだけ。

■セットのほかにペール缶と煙突が必要

説明書によれば、ほかにエンジンオイルなど入れるペール缶と、ステンレスの煙突が必要とのこと。

ペール缶はホームセンターでも売っていますが、近所のおじさん情報ではガソリンスタンドでもらえるそうなので、いそいそともらいに行き、帰りにホームセンターで1本850円のステンレス煙突(半直筒=455mm、直径120mm)を2本を購入し、準備は万端!

ちなみに自分でペール缶と煙突を用意するシンプルな「焚火缶」キット(5800円※購入した通販サイトでは送料込みで6800円)のほかに、煙突がセットになったセット(7800円)と、ペール缶+煙突のセット(8800円)もあります。

早速、組み立て開始。とはいっても、組み立ての工程で唯一、工具を使うのは天板と仕切り板の結合部分だけ。2枚の金属プレートを、10mmのボルトとナットで結合すればメインフレームの完成です。

組み上がったメインフレームをペール缶へ挿入し、次にメインフレームに開いている穴へ煙突をブスッと挿すと、だんだん形が見えてきました。

各部が安定しているのを確認したら、ペール缶の上にもう1枚の天板を置き、煙突の先端にゴトク用の十字状のプレートを装着すれば本体の完成! 包みを開封してから、ここまで30分弱という早業。多分、誰もが間違いなく作れるはずです!

ゴトクを置いた煙突先端が最大火力コンロとなるのが、このストーブの面白いところ。ここからロケットエンジンのように炎が吹き出すというから楽しみです。

■簡単着火ですぐに安定燃焼に入る

着火準備に薪などを用意し、いよいよ着火。薪ストーブや焚火台、ガスストーブにランタンと、炎を扱うキャンプ道具も色々ありますが、どんな道具でもやはり最初の火入れは感慨深いものです。

とはいえベースは、昔、作業現場でよく見かけたペール缶の焚火台。

昭和のノリで着火しようと、少し多めの新聞紙と細めの薪、杉の葉などを突っ込んで、マッチで点火。が、上からしか手を入れられないペール缶では少し難しい(と言うか手が熱い)ので無理せず、着火口が長いガスライターかガスバーナーを使うほうがいいと思います。

昭和の時代、ゴミ焚きに活躍したペール缶や一斗缶ですが、なかなか火がつきにくかった思い出があります。今思えば、燃焼時の空気の流れが影響しているからだと分かりますが、当時はそんなことはつゆ知らず。

火を燃やす時、冷たく新鮮な空気は下から入り、熱い煙となって上へと昇っていきます。しかし開放部が上面だけの金属缶の中では、この空気の流れが生まれにくいのです。そこで昔の人が考えたアイデアが、缶底近くの側面に空気入れの窓を開けることでした。こうすることで、空気窓から新鮮な空気が入り、煙が上へと抜けていくのです。

しかし今回はペール缶の側面に窓を開けてはいません。これでは吸気と排煙が同じところからとなり、なかなか安定燃焼となりにくいのが普通なのですが…。

焚火缶の中では新聞紙から杉の葉、そして薪へと火は燃え移り、あっという間に安定燃焼に入っていました。

これは予想以上の性能。数枚の金属プレートの組み合わせと短めの煙突だけで、これほど空気の流れを制御できるとは。正直、驚きです。

煙突に排煙を集中させることで嫌な煙は出ず、燃焼室内は非常に美しい燃え方をしています。そして全体的に火力は非常に強い。

■強い火力を生かして作ったキャンプ飯

プレートで区切られた燃焼室と煙突の位置関係からロケットストーブ にもなっているようで、煙突先端からは楽しみにしていた高火力の火柱が上がっています。これは期待ができそうだということで、どんなキャンプ飯が作れるか試してみました。

まずは高火力の煙突先端コンロに鋳鉄スキレットを置き「エビとブロッコリーのアヒージョ」。少し多めに入れたオリーブオイルはあっという間に沸騰し、エビはほんのり桜色に。

そしてもう一品は煙突の真下、サブ天板を開いたところに置いた網の上で、厚手の牛ステーキが盛大な音を立てながら焼き上がりつつあります。

とにかく火力が強いというのが、このストーブで調理した第一印象です。今回の焚き火で使った薪は、さほど良い薪ではなく、数も両手で掴めるくらいのものでした。そのわずかな薪でこれだけのパワーを得られるとは、嬉しい誤算というしかありません。

ユラユラ揺れる炎を愛でながら、香ばしいステーキとアヒージョを摘みに、ワインを一口。最高の瞬間ですが、実は今回の焚き火料理の主役はまだ登場していません。このあたりで満を辞してメインディッシュの調理に取り掛かりました。

今回のメインは「ビンチョウマグロの炙り」です。脂ののったビンチョウマグロの柵に竹串を打ち、高火力の煙突バーナーで炙り焼きにしようという魂胆です。

煙突から立ち昇る炎。その火力は凄まじく、みるみる間に薄紅色の身は焔に包まれ香ばしく焼きあがる…はずだったのですが、あまりに火力が強すぎて、竹串に火がついてしまいました。これは失敗。金属製の串を使うべきでした。慌てて火から下ろします。

火にかけたのは短時間でしたが、それでも身にはうっすらと焼き目が入っており、とても美味そうです。その身をサッと氷水で締め、厚めにスライスすればメインディッシュのできあがり。「わさび醤油」で和風にいくのも良いですし、「オリーブオイルに岩塩」でカルパッチョ風にしても美味しいです。ちなみに私からは「ごま油+おろしニンニクと岩塩」を強く推薦したいと思います。

ついでにキャンプの定番朝食を作ってみました。一度火を消しても、焚火缶なら火付きがいいため、コーヒー用のお湯もあっという間に沸騰します。

寝起きに焚火の再点火は煩わしい作業ですが、これなら簡単。

BBQの時は開けていたサブプレートを閉じ、火力を少し弱めにし、その上に鉄鍋を置いて、卵と厚切りハムのハムエッグを作りました。サブ天板上にある吸気口の穴は直火焼きにも使えるので、直火焼きの香ばしいトーストもすぐに焼きあがります。

※ ※ ※

今回、使用した焚火缶ですが、期待した以上の楽しさと便利さでした。メリットの一つが煙の少なさです。未燃焼ガスが煙突内で燃えきるので、キャンプの焚き火でつきものの、目がしばしばする煙が非常に出にくいのです。また薪を効率よく燃やせるので、薪の使用量が少なくて済むのも助かります。結局、煙突を2本用意しましたが、よく乾燥された薪を使うなら1本で十分な上に、1本の方がコンロとしても使いやすい高さでした。

デメリットは本体がペール缶なので火が見えにくく、焚火の炎を愛でづらいことでしょうか。あと底面が薄い金属板のため、地面に直置きで使用すると植生への影響は大きいです。直火禁止のキャンプ場などで利用するときは底上げする工夫もいると思います。耐久性への疑問は、今回の利用だけではわからないので、しばらく使い続けてみたいと思います。何よりも、あの煙突から吹き出す炎は美しくて迫力満点。シンプルな道具ゆえ、アイデア次第で色々な使い方もできると思います!

>>遊火人

写真・文/阪口 克

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

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