その“異業種”の取り組みの最新例として、米航空宇宙局(NASA)が人工呼吸器を独自開発したと発表した。開発にかかった期間はわずか37日、しかも大量生産できるタイプという。
・部品数を7分の1に抑制
開発したのは「VITAL(Ventilator Intervention Technology Accessible Locally)」と呼ばれる、通常使用されている人工呼吸器とは全く異なるものだ。最大の特徴は使用する部品が少ないこと。7分の1ほどの部品で組み立てられるという。
また、通常の人工呼吸器に使用されている部品は避け、手に入りやすいものを活用。これにより従来タイプの部品供給に影響を与えることなくVITALを製造でき、逼迫する人工呼吸器の増強を図れるという。
・緊急使用許可待ち
ただし、VITALは通常タイプに取って代わるものではない。病院で通常使用されてきたタイプは患者のさまざまな症状に対応できるオールマイティさを備え、また数年の使用が可能だ。
一方でVITALの使用期間は3〜4カ月程度で、新型コロナ患者専用。より高度な治療が必要な重症患者には通常の人工呼吸器が必要だが、VITALはそうでない患者向けのものという位置付けだ。
VITALはすでにニューヨークのマウントサイナイ医科大学で行われたテストをクリアし、現在、米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可待ちという。
米国では新規感染者数がこのところ緩やかになりピークは過ぎたとの見方が広がっている。しかし、今後第2波がくることが確実視されていて、VITALはそうした事態への備えに有効だろう。また、医療機器が十分でない発展途上国の対応を支えるものにもなりそうだ。
(文・Mizoguchi)
- Original:https://techable.jp/archives/122675
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:mizoguchi