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資金調達の契約条件はBeforeコロナ、Afterコロナでどう変わるか

スタートアップが資金を調達しようとするときは、間違っても公園を散歩するようにはいかない。良い時があり、悪い時がある。現在はと言えば、ほとんど誰も生涯で経験したことがないような不確実な時期だ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで世の中が混乱する前に難なく資金調達できたスタートアップでも、事業継続のためにさらに資金が必要になる可能性は十分ある。多くのセクターで売上が急減しているからだ。

バリュエーションはほぼ確実に下がるか横ばいだ。もう1つの切実な問題は、Zoom(ズーム)を使った電話会議で創業者がどういう取引条件に直面するかということだ。多くの業界関係者によると、投資家は自らの資金を守ろうとするため、契約条件は厳しいものになるという。

「現時点で企業には3種類ある」と、ワシントンDCに拠点を置くCooley(クーリー)でスタートアップを専門とする弁護士、Derek Colla(デレク・コラ)氏は述べる。「2カ月前を振り返ってみよう。まず、投資家に『金を持っていってくれ』を言わしめるような業績の良い会社があった。次に良くやっている会社があった。実績は計画に近いが大したことはない。最後に投資家のブリッジファイナンスで何とかしのいでいる会社があった」。

「今は」とコラ氏は言う、誰もがはしごから足をを滑らせたところだ。「良い会社は、次の資金調達でバリュエーションがわずかに上がるかもしれないが、たいていは直近のラウンドを再びオープンするにとどまっている。インサイダー(既存株主)が会社の失敗を望まないという理由もあるが、新しい投資家に入られ、良いディールを持っていかれ、自分たちが間抜けに見られるのをいやがるという理由もある」。

さて「そこそこの会社」は、より厳しい条件の受け入れを要求されている。低いバリュエーションに甘んじたり、会社がダウンラウンドを避けたいなら、多くのワラントを投資家に渡したりすることだ。後者はつまり、投資家に今日の低い株価で計算した持ち分を将来渡す契約上の権利だ。

コラ氏はまた「第2グループの会社が一時的に不利な条件をのむよう求められる例が増えている」と言う。例えば、将来のラウンドで会社のバリュエーションが下落した場合に投資家が保有する株の希薄化防止を保証するフルラチェット条項を付し、保証期間を1年にすることなどだ。

「第3グループはもう終わりだ」と同氏は言う。

これは逸話であって、今のところ全体の一部のそのまた一部の話にすぎない。Orrick(オリック)サンフランシスコ事務所のパートナーであり、法人グループの責任者であるMike Sullivan(マイク・サリバン)弁護士は次のように指摘する。「危機が起きた後に、この機に乗じようとする投資家を見たことはない。ただデータが取れているわけではない。ドットコムブーム後の2001年と2002年に訪れた『核の冬』で見られた契約条件が再び現れるか判断するには時期尚早だと思う」。

TechCrunchが話した、ニューヨークを拠点とするスタートアップ弁護士の1人は、最も厳しい契約条件は今のところ、ほとんどが東海岸のグロースステージをターゲットとする投資家が関わるタームシートで見られると述べた。彼らは創業者の「物語る」能力よりも常に数字に関心がある。

ベイエリアのスタートアップはまだ厳しい取引条件に直面していないようだ。たとえばFenwick & Westが今週初めに発行した今年第1四半期に関するレポートでは、パンデミックのため新規取引の動きが落ちていると指摘しているが、より高い優先順位や倍数を条件とする残余財産分配優先権(Senior or Multiple Liquidation Preference)、希薄化を防止するラチェット条項、Pay-to-Play(ペイ・トゥ・プレイ)条項など、深刻な景気後退時に現れる条項の増加はみられないという。(ペイ・トゥ・プレイ条項とは、会社が資金調達の際にインサイダーに頼る必要があるが、比例按分による資金負担ができないまたはしたくない株主がいる場合、その株主が保有する優先株式が普通株やその他の権利内容の面で劣後する株式に転換されてしまう条項)。

レポートの著者は、「そのような契約条件は今後数カ月で注目されるようになるだろう」と述べている。だが、匿名を希望した経験の長い投資家は、そうした条件が再び現れることは決してないと主張する。「スタートアップエコシステムにおける非常に自由な情報の流れと投資家の評判の重要性を考えると、選択肢が減っている創業者に圧力をかけることは合理的ではない。このビジネスに今後20年は関わる必要のある人々が嬉々として襲い掛かるという考えは、ほとんどフィクションだ」。

起業家でエンジェル投資家のJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏も概ね同意し、次のように語った。「ワラントやフラットラウンドを望む声を聞いたことはあるが、ドットコムバブル崩壊後のように残余財産分配優先権を2倍や3倍にというのは聞いたことがない。創業者が出会うとしてもそうしたナンセンスを求めるのは略奪的なVCだけだ。ただそういうクレイジーな条件に合意してしまうと、問題は会社が死のスパイラルに陥る可能性があるということだ」。

価格以外の条件について、これまで紹介してきた見方が正しいかは時間が経たなければわからない。多くはこの不況がどれだけ長く続くかにかかっている。

とはいえ「創設者はゲームが変わったことを理解すべきだ」とシードステージ向けのVCであるHaystackの創業者であるSemil Shah(セミル・シャー)氏は示唆した。

資金調達ラウンドの「最適化」は少し前まで、経営陣にとって可能なことだったが、今は確実にクロージングすることが重要だ。誰かがフェアで合理的な条件を提示してきたら、ぐずぐずしたり、もっと良い条件を得ようといろんな人に働きかけるのはやめたほうが良いかもしれない。

画像クレジットpryzmat / Shutterstock

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(翻訳:Mizoguchi

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