Microsoft(マイクロソフト)創業者のBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、グローバルの新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと戦うために現在展開されている取り組みをサポートしようと、Bill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の活動をいかに「ほぼ全面的」に新型コロナウイルス感染症にシフトさせているかをファイナンシャル・タイムズに語った(Fast Company経由)。同紙に対してゲイツ氏は、新型コロナウイルスの感染拡大は恐ろしいほどの経済影響をもたらしうると語り、その結果、誰も想像できないほど世界が苦しむことになるかもしれないとした。そのため、世界で最も資金力のある慈善財団の1つであるゲイツ財団のリソースすべてを注いで新型コロナ問題を克服する必要があるとの考えを示した。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は新型コロナウイルスが世界に広く認識されるようになったときから、ワクチンの試験や臨床研究、そして治療薬や治療法の開発に関連する基礎研究に資金を提供してきた。これは、同財団がリソースを新型コロナに向ける一方で、ポリオやエイズの根絶など同財団の既存の任務が一時的に縮小もしくは停止することを意味する。かなりのリソースを新型コロナに向けるというゲイツ氏の決断は状況の深刻さを浮き彫りにしている。
活動の一時的シフトは、実際には同財団の根幹的な目標に取り組む長期的で最善の方法となる。というのも、新型コロナウイルス危機によるグローバルの影響は、食料や基本的必需品はもちろん、医療、テスト、治療へのアクセスなども含め、暮らしのあらゆる面に及ぶと考えられるからだ。感染拡大を早く抑制することは、新型コロナ対応に苦戦している経済に最も大きな影響を与えるかもしれない。また、他の病気が地域のインフラを破壊したり影響を長引かせたりするのではなく、妥当なタイムラインで根絶させる効果的な取り組みにつながるかもしれない。
2015年のTEDでの講演の中で、ゲイツ氏は世界的な感染症の発生を予言し、世界の健康衛生機関や政府に大規模な感染症が発生した場合に何をすべきか、ともに準備するよう訴えた。ゲイツ氏の発言は主に、取り組みの格差やシステムの欠点などを明らかにした2014年のエボラ熱の流行を念頭に置いたものだったが、振り返ってみると同氏のアドバイスは先見の明があったようだ。
残念ながらゲイツ氏は、極度のパラノイアや嘘をばらまくグループによる多くの誤情報やインチキ陰謀説のターゲットになっている。しかしインタビューからすると、ゲイツ氏は超有名な個人にそれらは付き物とある程度予想していた向きがある。そうした陰謀はゲイツ財団の取り組みに影響は与えていないようだ。
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(翻訳:Mizoguchi)