サイトアイコン IT NEWS

新型コロナ不況下でもSpotifyのQ1売上高は約2140億円、月間アクティブユーザー数は31%増

新型コロナウイルス(COVID-19)は経済を停滞させているが、デジタル音楽への影響は最小限に抑えられていることが世界最大の音楽ストリーミング会社によって証明された。Spotify(スポティファイ)は29日、第1四半期の決算を発表し、それによると売上高は18億4800万ユーロ(約2140億円)、純利益は100万ドル(約1億円)だった。月間アクティブユーザーは2億8600万人、有料(プレミアム)サービスユーザーは1億3000万人で、広告入りサービスユーザーは1億6300万人だった。広告入りサービスユーザーの方が伸びはわずかに大きく成長率は32%で、これに対し有料サービスは31%だったとSpotifyは話した。

Spotifyの決算は、売上高とEPS(1株あたり利益)の両方でアナリストの予想を上回った。アナリストの売上高の予想は平均18億6000万ドル(約1980億円)で、EPSは0.49ドル(約52円)の損失を予想していた。しかし実際のEPSは希薄化後で0.20ドル(約21円)の損失、希薄化前で0ドルだった。

これらの数字は音楽産業から聞こえていたポジティブなサインを強調している。人々が家にこもってエンターテイメントを模索するにつれ、ビデオをも含むストリーミングメディアサービスでかなりの利用増がみられた。少なくともUniversal Music Groupが今月発表した決算でも新型コロナパンデミックの影響はほとんど見られなかった。

「第1四半期の新型コロナウイルスをめぐる世界的な不確実性にもかかわらず、我々の事業はあらゆる指標で予想どおり、または予想を超えた」と同社は株主に説明している。「第2四半期、並びに今年残りに関して、主要なパフォーマンス指標の見通しはほとんどは変わらない。ただし売上は広告収入の落ち込みや為替レートの大幅な変動の影響を受ける」。

言い換えると、全体的な数字は安定が見込まれる一方で、特定のマーケットやプロダクトエリアで減少がなかったわけではないということだ。

例えば、Spotifyがこれまで強かったイタリアやスペインは新型コロナウイルスの感染や経済への影響が最も深刻なマーケットで、その結果、Spotifyによるとこの2つのマーケットのデーリーアクティブユーザー数と消費は激減した。そしてイタリアとスペインで新規感染患者数が落ち着くのと同時にデイリーアクティブユーザー数と消費はいま復活し始めている。

視聴パターンもまた変化している、とSpotifyは指摘した。「今や毎日が週末のようだ」と述べた(何を言わんとするか想像がつく)。

車やウェアラブル、ウェブプラットフォームでの使用は落ち込んだが、テレビとゲームコンソールでの使用は1年前に比べ50%以上増加した。米国におけるゲームコンソールを介しての広告入りサービスの月間アクティブユーザー数は消費という点ではトップ2位か3位のプラットフォームとなり、コネクテッドデバイスの使用は世界中の広告入りサービスユーザーの間で40%超アップした。

料理や毎日の雑用、家族の時間、家でのリラックス時の視聴時間は、過去数週間で2桁増となった。「オーディオはまた、多くの人がこの先例のない環境で感じているストレスや不安をコントロールするのに、大きな役割を果たしてきた」と使用方法に関する説明で述べた。

サブスクの数については、無料ユーザー数が有料ユーザー数を引き続き上回っていて、有料へのアップセルのための跳躍台になっている。これは現況ではより強固なモデルのようだ。

「過去数カ月で、我々はフリーミアムモデルに対する確信をさらに強めた」と同社は述べた。「言及したように、ユーザー数は大きく伸びている。経験から言うと、プレミアムユーザーの60%以上が広告入りサービスのユーザーとして利用を始める。なので、間口部分での継続したユーザー増加は我々のエコシステムにとってかなり健全なものだ。また利用をやめたユーザーのおおよそ70%が45日以内にSpotifyに戻ってくる。ここにはプレミアムサービス、広告入りサービスの両方が含まれる。我々の切なる願いは、人々の暮らしに“健全さ”が一刻も早く戻ることだが、我々のモデルがこの嵐を耐えるだけでなく、乗り越えてさらに強くなるものだと確信している」。同社の自前のコンテンツ制作へのシフトは実を結んだようだ。ポッドキャスト事業でかなりの成長が見られた。

粗利益率は25.5%で、「我々の予想を上回りガイダンスレンジの最大値となった」と同社は指摘した。その理由は「商品構成のコアなロイヤルティ要素が単発割引によって相殺されたから」だ。これは目下プロダクションが停滞しているために影響を受ける。

Spotifyは今月初めに、より多くのマーケットをカバーするWarner Music Groupとの新たなグローバルライセンス提携を発表した。ただしこれはロイヤルティー料金の変更が行われるのではなく、Spotifyにさらに多くのマーケットで幅広い音楽を、そしておそらく他のIPへのアクセスを提供する。

「我々は結果に満足している。前述した通り、新たな提携が音楽経済に著しく影響するとは考えていない」と書いている。「長期にわたって音楽産業を成長させるために、Warnerと協業することを楽しみにしている」

Spotifyは過去7週間、完全にリモートワークを行なっている。他の多くのテック企業と違って、Spotifyはこれまでのところ従業員を全く解雇していない。しかし、2020年の残りは新規採用を減らし、掲げていた数字の30%減となる、と記している。

画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

モバイルバージョンを終了