米食品医薬品局(FDA)から認可を受けたAIベースのトリアージツールを開発したメディカルスタートアップのNines(ナインズ)は、放射線診断医の負担増大に対処するため、6月30日までツールを無料で提供する。新型コロナウイルス(COVID-19)が米国におけるヘルスケアの姿を変えつつある。
NinesAIは、頭蓋内出血の可能性のある緊急症例と患者の血腫による圧迫の状態を識別するように設計されており、放射線科医が症例に優先順位を付けての診断に役立てることができる。NinesAIは兆候を検出する補助ツールであり、その上で訓練を受けた放射線科医がCTスキャンによってさらに検査すべきか検討することになる。とはいえ、作業負荷を減らし、時間のかかる手作業の初期ステップを省くのに非常に役立つ。
これはAIの応用が非常に理にかなっている良い例だ。Udacity(ユダシティ)の創業者とGoogle(グーグル)の自動運転車のパイオニアであるDavid Stavens(デイビッド・ステイブンズ)氏が共同で創業したNinesは、ニューヨーク市のマウント・サイナイ病院放射線科会長のAlexander Kagen(アレクサンダー・カーゲン)博士をチーフ・メディカル・オフィサーに擁する。同社は機械学習の専門知識を駆使して、診断プロセスの中で繰り返しが生じる部分を担うソフトウェアを開発し、放射線科医が最終診断や特別な症例などのより専門的でコピーが難しい部分に集中する時間を確保する。
NinesAIツールは同社の遠隔放射線診断プロダクトを使用するNinesのユーザーが無料で利用できるだけでなく、既存のユーザーも放射線診断の現場で追加費用なしで使用できる。
Ninesは、頭蓋内出血と血腫による圧迫のトリアージ向けAIツールにFDAから認可を受けた最初の企業だ。同社は2017年に創業され、これまでにAccel(アクセル)や8VCなどの投資家から1650万ドル(約18億円)を調達した。
画像クレジット:Nines
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(翻訳:Mizoguchi)