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キャンプでの快眠を左右するテントマットの選び方

キャンプでの快適な眠りをサポートする寝袋とマット。ダウンの量や縫製の仕方、対応温度など目に見えて違いを語れる寝袋とは異なり、マットは外見がほぼ同じ。何がどう違うのかわかりにくく、ついおろそかにしがち。でも、「快眠を左右するのはマットだ」と言っても過言ではありません。

マットはどうやって選べばいいのでしょうか? サーマレストの人気マットレスを例に考えてみましょう。

▲右から「モンドキング3D L」「プロライト エイペックス R」「Zライトソル R」「リッジレスト ソーライト R」「ノーブランド 銀マット」

 

▼自動膨張式ベッド

サーマレスト
「モンドキング3D L」(2万5000円/税別)
収納サイズ:66×φ23cm
重量:2.5kg
厚み:10cm
R値:7.0

 

▼自動膨張式マットレス

サーマレスト
「プロライト エイペックス R」(1万7000円/税別)
収納サイズ:28×φ12cm
重量:630g
厚み:5cm
R値:3.8

 

▼折りたたみ収納クローズドセルマットレス

サーマレスト
「Zライトソル R」(6200円/税別)
収納サイズ:51×13×14cm
重量:410g
厚み:2cm
R値:2.0

 

▼ロール収納クローズドセルマットレス

サーマレスト
「リッジレスト ソーライト R」(4800円/税別)
収納サイズ:51×φ20cm
重量;400g
厚み:1.5cm
R値:2.1

 

▼(参考)折りたたみ式銀マット

「ノーブランド 銀マット」(約2000円)
収納サイズ:約80×22×13.5cm ?
重量:約400g
厚み:約1.5cm
R値:不明

 

そもそも自動膨張式マットレスはサーマレストが発明した機構。内側にフォームを内蔵していて、バルブを開けると内蔵フォームが元の姿に戻ろうとします。この力を利用し、ある程度まで自然に空気が入るので、息を吹き込む時間を短縮できます。また内蔵フォームのおかげで、保温性も良好。

一方、クローズドセルマットレスは空気不要。広げるだけで使えて、穴が開くといった破損の心配はまったくありません。銀マットもクローズドセルマットの一種です。

 

■収納サイズ

小さくたためるのは自動膨張式マットレス。「プロライト エイペックス R」はナルゲンの「トライタン 広口1.5L」とほぼ同じ大きさにして持ち運べます。

ただし、同じく自動膨張式であってもモンドキングのように内蔵フォームが分厚いとクローズドセルマット以上にかさばってしまいます。

 

■厚み・R値

サーマレストではR値を公表しています。

R値とは熱抵抗値のことで、マットの断熱性を示します。R値の数字が大きいほど体温が逃げにくいので、その分あたたかく眠れるマットレスだと判断できます。

サーマレストのマットレスを見ると、厚みがあるほどR値がすぐれているとわかります。R値を公表していないブランドが多いので、マットを見比べるときは厚みを参考にするのも手です。

なお、春先や秋のキャンプではR値3以上、雪降る冬キャンプは4以上が目安。R値が4以上のマットレスは数が少ないのですが、R値が2のマットを2枚重ねるとR値は4になります。

 

■重量

自動膨張式は内蔵フォーム、フォームを包む生地、そしてバルブも装備されているので、シンプルなクローズドセルマットよりも重くなります。

 

■使用サイズ

サーマレストの場合、R(レギュラー)は51×183cm、L(ラージ)は63×196cmに統一されています。

 

■メンテナンス

自動膨張式は空気が漏れるとアウト。日焼け止めや虫除けなどは生地を傷める危険があるので、マットに触れないように気をつける必要があります。それに息を吹き込むときに入った水分で内蔵フォームの劣化、カビの危険も。バルブ破損、剥離ほか不具合が生じる危険も増えるので、永遠に使える保障はありません。

その点、広げるだけのクローズドセルマットは破れてもちぎれても使えなくはありません。長く使っているとへたってしまいますが、何年でも使えます。

 

■寝心地

「モンドキング 3D」

ポンプ付きの収納袋で空気を入れます。ツインロックバルブなので空気を抜くのも簡単。厚みは驚異の10cmで、地面のデコボコをしっかり吸収してくれます。「モンドキング」はLサイズとXXLサイズというラグジュアリーなサイズ展開でちょっとやそっと寝返りを打っても身体が落ちることはありません。ただ、R値が7.0、表面はビロードのようなストレッチニットなので、夏は暑いかも。

 

「プロライト エイペックス」

内蔵フォームのおかげでもっちり、ほどよい堅さ。空気の量によって寝心地を調整できるのが自動膨張式のメリットです。身体のラインに沿って、足下と頭のあたりがシェイプされていてコンパクトに収納できますが、何度も寝返りをうつ人は足が落ちやすいので気をつけて。

 

「Zライトソル」

広げるだけで準備完了。丸いデコボコがあり、点で身体を支えているためか柔らかな寝心地になっています。地面の小さな石はデコボコがうまく吸収してくれます。それに、デコボコが抵抗するからか、身体がずり落ちにくいようにも思えます。超スタンダードなマットとして愛されているのも納得です。

 

「リッジレスト ソーライト」

広げるだけで使えて、表面に溝があるので薄手の割にクッション性があります。ただし、丸めたときの巻き癖が付いているので、足を曲げたときに端っこがくるんと曲がることが。巻き癖が強いほうを背中側にするなど工夫が必要です。

 

「銀マット」

厚みはリッジレストと変わりませんが、フラットなためかクッション性はなく硬い! 地面のデコボコもなんだかわかります。これ1枚では頼りないですが、コスパ良好だし、寒い時期はベースに広げて断熱性を高めるのに重宝します。

*  *  *

好みにもよりますが、マット選びの指標は次のようになります。

【ラグジュアリーなキャンプ】「モンドキング」のような極厚ベッド。ただし真夏のキャンプは除く。

【秋〜冬キャンプ】クローズドセルマット+自動膨張式マット。寒がりさんは安価な銀マットを複数枚加えるという手も。

【春〜夏キャンプ】好みの寝心地で。柔らかめが好みなら表面がデコボコしたクローズドセルマットで、堅めの寝心地がいいならデコボコのない銀マットで。バランスがいい硬さなのは自動膨張式です。

【車内にマットをいれっぱなし】クローズドセルマット。高温はマットの大敵です。真夏でもあえて車内にいれっぱなしにするなら、空気を入れるタイプは諦めましょう。

結局、好みの寝心地のマットレスと銀マットを、気温によって組み合わせることになるわけですが、好みの寝心地は人それぞれ異なります。ひたすらショップで寝転び、比べてください。

 

>> サーマレスト

取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

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