フランスのスタートアップAngellは、SEBと広範囲のパートナーシップを締結した。SEBは、All-Clad、Krups、Moulinex、Rowenta、Tefalなどのブランドを傘下に持つ調理器具・家電メーカーグループだ。この契約の一環として、フランスのディジョンに近いIs-sur-Tille(イス=シュル=ティーユ)の工場で、SEBがAngellの電動自転車を製造する。
SEBの投資部門であるSEB Allianceは、Angellに出資もしている。契約条件は明らかにされていないが、AngelではSEBを含む投資家グループから、760万〜2170万ドル(約8億1400万〜23億2500万円)の資金調達を計画しているという。
「当初私たちは、2020年中に1500台の自転車を製造する予定でした」と、Angellの創立者であるMarc Simoncini(マーク・シモンシニ)氏は語った。「気が付くと、期待していたより多くの自転車を販売していました。現在では、1万台の販売を見込んでいます」。
Angellは、この6か月間で、2000件の予約注文を受け付けた。内訳は、フランス国内が75%、その他の国が25%となっている。しかし、フランスでのロックダウンの影響で、予約注文は劇的に増加した。5月の注文数は、これまでの月間平均の3倍になるとAngellでは見込んでいる。
当初Angellでは、独自に工場を建設し、自ら自転車を組み立てる計画を立てていた。SEBでは、すでに25人の従業員を生産ラインに割り当て、5月末にも製造を開始することにしている。これによって物事がはかどり、遅れがちだった生産計画も軌道に乗るはずだ。
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AngellがスマートEバイク(電動自転車)を発表したのは、2019年の11月だった。アルミフレーム、一体型ライト、取り外し可能なバッテリーを備え、2.4インチのタッチスクリーンを装備したもの。
CowboyやVanMoofなど、他の「つながる」Eバイクと同様に、AngellもBluetoothを利用してスマホとペアリングできる。それによってAngellは、ロックとアラームシステムも統合する。内蔵のGPSチップとセルラーモデムにより、自転車が盗まれた場合には追跡も可能だ。
しかしAngellは、統合ディスプレイの装備によって、他社より一歩先を行っている。パワーアシストのレベルを選択したり、速度、消費カロリー、バッテリーレベル、走行距離、といった情報を表示できる。目的地までのナビゲーション機能も備えている。ハンドルが振動して、左折や右折のタイミングを知らせる機能まで統合したものだ。
同社は先日、2番目のモデルとなるAngell/Sも発表した。ステップスルーフレームを採用した、小型軽量バージョンだ。どちらのモデルも、同じバッテリー、同じモーター、同じ電子制御機能を備えている。価格も同じで2690ユーロ(約31万円)となっている。
Angellは今のところ、7月にEバイクの最初のバッチを出荷する予定としている。夏の終わりまでには、新たに注文しても、10日以内に受け取ることができるようになる。最終的には、フェンダー、荷カゴ、ミラーなど、アクセサリーもフルラインアップで提供する予定だ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)