Nikkei Asian Reviewによると、世界最大の契約半導体メーカーであるTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC)は、同社最大の顧客のひとつであるHuawei(ファーウェイ)からの今後注文を受けないこととなった。記事によると、その決定は米国時間5月15日に発表された米国の新たな輸出規制に従うもので、これによりファーウェイはチップの製造機械も含む米国の技術で製造されたチップを入手することがより困難になる。
禁止令は、2020年9月14日までに出荷可能な現時点の受注残や既に製造過程にある受注に影響しない。世界最大の通信機器メーカーであるファーウェイは、TSMCにとってApple(アップル)に次ぐ2番目に大きな顧客だ。TSMCはファーウェイが同社のスマートフォンなどに使っている先進的なチップの多くを生産している。
米商務省が5月15日に出した新たな禁止令は、具体的にファーウェイを名指したもので同社が米国のソフトウェアと技術を使ってチップを生産することをより困難にしている。海外のファウンドリーもこの禁止令の対象になる。
商務省の発表と同日にTSMCは、州と連邦政府の支援によりアリゾナに総工費120億ドル(1兆2900億円)の先進的なチップファウンドリーを建設する、と発表した。それにより、TSMCの米国における顧客の多くが、自社のチップを米国内で作れるようになる。
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TSMCの発表前には、The Wall Street Journalがアジアの工場や国際的なサプライチェーンへの依存を減らすために米国にファウンドリーを建設する件でホワイトハウスとTSMCおよびIntelが協議中である、と報じている。
TSMCの代表者は本誌に、受注の詳細を明かすことはできないがTSMCは法と妥当な規制を遵守しており、「米国の輸出規則の変化にはよく注意している」が、「規則の合法性等については外部顧問による総合的な審査を行なっている」と述べた。
これは米国政府が国のセキュリティ懸念を理由としてファーウェイに対して行った規制の中でも最新のものだ。2012年に下院諜報委員会は、ZTEとともにファーウェイをセキュリティへの脅威となる可能性があると断定した。
両社はその告発を否定したが、トランプ政権の下では米国の企業が2社とビジネスをすることに対する禁止令がより厳しくなった。Nikkei Asian Reviewの記事によると、ファーウェイは商務省の新たな禁令を予期して、通信機器製造のために必要なチップの1年分の在庫を確保していた。
TechCrunchはファーウェイにコメントを求めている。