Googleは、ペンタゴンのクラウド環境であるJEDIの入札競争から、かなり早い時期に手を引いた(未訳)。理由は「同社の『AIの原則』に反するから」とされた。しかし米国時間5月20日に同社は、国防総省のDefense Innovation Unit(国防イノベーション部隊、DIU)との7桁ドルの契約を発表し、同社クラウド部門とそのCEOであるThomas Kurian(トーマス・クリアン)氏にとって大きな勝利となった。
具体的な数字は明かさないが、この契約にはAnthos(アントス)の使用が含まる。このツールが同社が昨年発表した(未訳)もので、DIUのマルチクラウド環境のセキュリティを確保する。JEDIの契約は1社が対象だが、国防総省はこれまでも常に3大クラウドベンダー、つまりAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のすべてを使ってきた。そして特に今回のソリューションは「これら3つの環境すべてにまたがるセキュリティをモニタする」とGoogleは説明する。
Google Cloudのグローバル公共部門担当副社長であるMike Daniels(マイク・ダニエルズ)氏は 「未来はマルチクラウドにある。民間企業の大半がいまではマルチクラウドの環境を安全かつシームレスに運用している。それが、これからは連邦政府にもやってくる」と語る。
その考え方としては、3つの環境全体にまたがるセキュリティを、これも契約の一部であるクラウドセキュリティベンダーであるNetskopeを起用して管理していく。それに関して同社は声明で「Anthosの上にマルチクラウドのソリューションが構築されるかたちになる。それによりDIUは、ウェブサービスとアプリケーションをGoogle Cloud、Amazon Web Services、およびMicrosoft Azureのどこでも動かせるようになる。そしてその全体を、Google Cloud Consoleから集中的に管理する」とコメントしている。
ダニエルズ氏は「これ自体はDIUとの契約だが、将来的には国防総省のそのほかの部分にも広がるだろう。今後は国防総省全体のセキュリティの実装がこのプロジェクトをモデルとして見倣うだろう」と語る。
Google Cloud Platformは、クラウドインフラストラクチャの市場競争で遅れを取り、マーケットシェア8%で3位だ。トップのAWSは33%、マイクロソフトは約18%となっている。
JEDIは、総額100億ドル(約1兆800億円)の勝者総取りの契約だが、そこにはいまだに多くの議論があり、ペンタゴンとアマゾン、マイクロソフトの3者間の抗争もある。それに対し今回の契約は、JEDIに何が起きてもAnthosのような先進的な技術でマルチクラウドを管理していきたいという、国防総省の意思を示しているようだ。
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