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アップルとグーグルが新型コロナ濃厚接触通知APIをリリース、各国公衆衛生機関はアプリ開発へ

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染者と接触した可能性があることを通知するアプリのAPIを一般公開した。TechCrunchでも先月下旬、コロナウイルス接触者追跡APIとして報じている。両社はその後、名称をウイルスに対するExposure Notification System(曝露通知システム)に変更したが、この方が機能を正確に表現しているようだ。

このアプリのユーザーが新型コロナウイルス感染にしたと確定診断された場合、その情報は公衆衛生機関にもたらされる。公衆衛生機関はアプリを利用している他のユーザーで感染者と接触があった人々に対し感染リスクがあることを警告する。個人を識別できる情報や位置情報などのプライバシーは十分に保護される。

今回の正式公開によりすべての公衆衛生機関がアプリのAPIを使用できるようになった。これまで両社は開発に必要な情報を得るためにベータ版のみを公開していた。正確にいえば、APIを利用するのは公衆衛生機関の依頼を受けてアプリを開発するデベロッパーだ。 つまり両社自らがリスクの通知やモニターアプリを作っているわけではない。

両社によると、米国の州多数と5大陸の22カ国が、感染警告アプリの開発のために感染データを処理できるツールの提供を要請していたという。公衆衛生機関は今回のリリースでAPIを利用できるようになったが、さらに機能の拡充を望んでいる。これまでに両社は、当局者、疫学専門家、アプリのデベロッパーのために説明会や講習会を24回以上開催してきたという。

感染リスクを通知するAPI はユーザーを識別する必要があるため、デバイス内でランダムに生成される鍵を利用する分散型識別システムとなっている。識別鍵はユーザーが使用するデバイス自身の識別情報などにはリンクせず、短時間で破棄されて別の鍵で置き換えられる。このAPIを利用する場合、公衆衛生機関は、感染リスクのあるユーザーとの接触持続時間や距離で独自に設定することが可能だ。

さらに両社は、感染リスクがあると通知されたユーザーが公衆衛生当局に対して自発的に健康状態を提供できるようにする。この場合、当局がユーザーに直接連絡して適切な対応を指示できるようにしていくという。

APIの開発にあたり、両社はプライバシーに最大限に配慮したという。組み込まれたプライバシー保護機能には、例えばBluetoothメタデータ(信号強度や送信電力など)の暗号化も含まれる。このようなデータは、可能性は低いもののデバイスを特定し、ひいてはユーザー自身を特定することに利用される可能性があるためだ。

またユーザーから位置情報の利用許可を得る必要があるアプリにこのAPIの使用することは明示的に禁じられている。公衆衛生当局が開発している感染追跡用のアプリには位置情報データを利用しているものがあるが、そうしたアプリはこのAPIにアクセスできない。このためアプリの開発方針の変更(未訳記事)も行われている。

両社はAPIの公開に関して以下のような共同声明を発表した。

アウトブレイクの発生時に公衆衛生当局が使用してきた最も効果的な手法の1つに、接触追跡と呼ばれるものがあります。このアプローチを通じて公衆衛生当局者は、感染者に濃厚接触した可能性のある人々に接触し、検査し、治療し、助言する。コンタクト・トレーシングの新しい要素の1つが、濃厚接触通知です。プライバシー保護のためのデジタル技術を使用して、ウイルス感染者に濃厚接触した可能性のある人に通知します。Exposure Notificationには、迅速な通知という具体的な目標がありますが、これは無症状で感染する可能性のある新型コロナウイルスで感染の拡大を遅らせるために特に重要です。

この取り組みを支援するために、アップルとグーグルは協力して、Exposure Notifications技術を構築しました。これにより、公衆衛生機関が作成したアプリがAndroid端末とiPhoneの両方でより正確に、より確実に、より効果的に動作するようになります。ここ数週間、両社は協力して、世界中の公衆衛生当局者、科学者、プライバシー保護団体、政府指導者に働きかけ、彼らの意見や指導を取りまとめてきました。

本日より、当社の濃厚接触者通知技術は、iOSとAndroidの両方で公衆衛生機関に提供されています。私たちが開発したものはアプリではありません。各国の公衆衛生機関が、ユーザーがインストールする独自のアプリにAPIを組み込むことになります。私たちの技術は、これらのアプリがよりよく機能するように設計されています。システムはデバイスから位置情報を収集したり使用したりすることはありません。ユーザーの採用が成功の鍵であり、これらのアプリの使用を促進するためには、これらの強力なプライバシー保護が最善の方法であると私たちは考えています。

本日、この技術は世界中の公衆衛生機関の手の中にあり、彼らが先頭に立ち、私たちは彼らの努力を支援し続けていきます。

両社は感染警告機能をモバイルOSそのものに組み込むことを計画しており、今年後半のiOSおよびAndroidのアップデートで実施されると述べていた。ただしこの「第2段階」の内容はさらに修正される可能性がある。両社によれば「新型コロナウイルス感染抑制対策としてどのような機能がシステムレベルに搭載されるのが望ましいか公衆衛生当局と協議を続けている」とのことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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