【特集】趣味時間 最新モノ案内
高性能で柔軟に使えるiPad Proは、多くのクリエイターたちも作品作りに活用。プロの現場でも存在感が増しているのだ。そこで、画家の田中ラオウさんと音楽プロデューサーの山本隆一郎に、iPad Proを使うメリットとお勧めの活用法を聞いた。
画材を一から揃えなくても油絵や水彩画が簡単に始められます
札幌出身。2007年よりカリカチュアリストとして活動をスタート。動物画を中心にマーブリングの手法を用いた独特な背景の作品を得意としており、モチーフに迫る確かな筆力が高い評価を得ている。カリカチュア2014年度世界王者
イラストにデジタルツールを使い始めたのは、10年ほど前からですね。憧れのカリカチュア・アーティストが、デジタルで描いていると知ったことがきっかけでした。最初はMacとペンタブレットにAdobe Photoshopを組み合わせて使っていました。
その後、iPadを導入して、AdobeSketchなどのアプリを使っていましたが、iPad ProとApple Pencil、Adobe Frescoの組み合わせを使うようになって、本当に快適になりました。手描きの感覚とほぼ差がなくなり、自分らしいタッチで表現できています。現在は仕事の半分くらいは、この環境で制作しています。
Adobe Frescoは、インクのにじみや鉛筆のリアルな筆致など、アナログ的な表現の幅が広い。繊細なタッチまで再現できるApple Pencilとの相性もいいですね。水彩画や油絵のように描くこともでき、微妙な色のブレンドも自由自在です。もちろん輪郭をしっかり描くイラストにも便利。やはりレイヤーを分けて、やり直ししながら描けるのは、手書きににはないメリットです。
何よりiPad Proなら画材を揃える必要がないので、すごくありがたいです。ペンや筆、絵の具などがすべてアプリに収まっているわけですから。そのアプリも種類が豊富で、自分に合ったものを選べる。それにどこにでも持っていけて、気軽に描けるところもアナログにはない便利さです。イラストや絵画を始めたい人や、久しぶりに筆を取ってみようと思う人にとって、iPad Proはスタートのハードルを下げてくれて、すぐに多彩な表現を楽しめる便利なツールだと言えるでしょう。
▼このアプリを愛用
「Adobe Fresco」(無料 ※App内課金あり)
ライブブラシにより、Apple Pencilを使って紙やキャンバスに描くような感覚で描画できるアプリ。ラスターとベクターの両データを使えるので、イラストから油絵のような絵までさまざまな作品作りに対応する。
■こんなアプリも作品作りにお勧め!
▼写真からイラストやパターン素材を簡単作成
「Adobe Capture」(無料 ※App内課金あり)
カメラで撮影した写真を、カラーテーマ、パターン、フォント、マテリアル、ブラシおよびシェイプに変換するアプリ。作成した素材は、Adobe PhotoshopやIllustratorなどに利用できる。
▼世界中のクリエイターから刺激を受ける
「Behence」(無料)
クリエイティブな作品を展示し、発見できるオンラインプラットフォームのアプリ版。イラストから写真、パッケージまで、世界中のクリエイターの作品や最新の活動を参照できる。
必要な機材がアプリで揃えられるのでiPadだけでも本格的な作曲ができます
安室奈美恵、鈴木愛理、東方神起など、数多くのプロデュース、作曲を手掛ける日本R&B界の鬼才。UVIやKORGなど、楽器メーカーのオフィシャルデモソング制作なども担当している。自身のユニット“RYPPHYPE”でも活動中
音楽制作にiPadを使い始めたのは2011年から。最初はiPad 2を使っていました。それ以前もiPod Touchで声や周囲の音を録って、素材に加工したりしていたんです。ただ、iPadが登場すると音楽制作に活用できるアプリが多く出てきて、もっと幅広い作業ができるようになりました。UIが優れたアプリが多く、実際のハードっぽい使い方ができるんです。その後も2年おきくらいで買い換えて、今はiPad Pro(2018)を愛用しています。
アプリは昔から「GarageBand」をよく使っています。弦楽器やキーボードなど、多彩な楽器の音を作れる機能を直感的に使えて便利です。録音機能を使って口でドラム音を入れたり、歌を重ねたりと自由自在。プロの現場でも愛用者は多くて、これだけで完成手前まで仕上げてしまう人もいます。気軽に持ち出せるのもiPadの便利なところ。屋外で思いついたアイデアをスケッチして、iCloudに保存し、自宅のMacで編集することもあります。
iPad ProはCPUが高性能なので、高度な作業もスムーズですね。昔は8トラックまでしか重ねられなかったのですが、今はもっと多くの音を重ねて複雑な曲を作れます。MIDI鍵盤もつないだりできて、拡張性も優れています。
「GarageBand」以外にも、KORGの「Gadget 2」や「Launchpad」など、直感的に操作できるアプリが多いので、ビギナーでも気軽に曲作りを楽しめると思います。まずは気軽に触ってみて、出てきた音をどんどん重ねたりつなげたりする。そんなカジュアルなスタイルで作曲ができるのも、iPadならでは魅力だと思います。
▼このアプリを愛用!
「GarageBand」(無料)
さまざまな楽器の音を組み合わせて、手軽に音楽制作ができる多機能アプリ。直感的に操作できるUIと豊富な内蔵音源、ループなどの機能を使い、ビギナーでも簡単に曲を作れる。
■こんなアプリも作品作りにお勧め!
▼豊富な音源を使ってアイデアを素早く音楽に
「KORG Gadget 2」(4900円)
40種以上の小型シンセサイザ ー/ドラムマシンを搭載。それらを自由自在に組み合わせて、直感的なインターフェイスで手軽に音楽制作が行える。
▼シンセサイザーの名機をアプリで再現
「KORG iWAVESTATION」(3680円)
1990年に発売されたシンセサイザーの名器を再現したアプリ。複数の波形の合成や連結といった特徴を、グラフィカルなUIとタッチ操作で利用できる。
▼ループやサウンドをタッチ操作で簡単ミックス
「Ampify Music Launchpad」(無料 ※App内課金あり)
8つのループやサウンドを組み合わせてリアルタイムに楽曲制作・演奏していくアプリ。テンポを変えたり、ループを組み合わせたりと自由に楽しめる。
▼指1本で感覚的にトラックメイキング
「KORG iKaossilator」(2440円)
手のひらサイズのシンセサイザー「KAOSSILATOR」をアプリで再現。タッチ・パッドをなぞったり、叩いたり、 擦ったりするだけで簡単に演奏できる。
■iPad Proでの作品作りをサポートする便利なアクセサリー
iPad Pro単体でも多彩な機能を備えていて、操作もスムーズだが、便利なアクセサリーも豊富に用意されている。快適な操作感や周辺機器との連携によりさらに使い勝手がアップすれば、創作意欲も高まるだろう。
1. 鉛筆のような感覚で繊細な線も色塗りも自由自在
アップル
「Apple Pencil (第2世代)」(1万5950円)
ピクセル単位の緻密なタッチが可能で、タイムラグも少なく、スムーズに文字や線を記入できる。傾きと圧力を感知するセンサーを内蔵し、微妙なタッチも再現可能。ツール切り替えなどに便利なダブルタップ操作にも対応する。
2. フルサイズキーとトラックパッドで入力作業がスムーズに
アップル
「Magic Keyboard」(11インチiPad Pro用:3万4980円 12.9インチiPad Pro用:4万1580円)
バックライトとトラックパッドを備えたiPad Pro用キーボード。無段階のフローティングカンチレバーによって最大130度までスムーズにiPad Proの位置を調整可能なほか、パススルー充電対応のUSB-Cポートも装備する。
3. 液晶を保護しつつ紙感覚の描き心地を実現
トリニティ
「上質紙そのままの書き心地 液晶保護フィルム(12.9インチ用)」(2970円)
さらさらした感触で紙のような感覚で液晶面にタッチできる保護フィルム。光の映り込みを抑える反射防止仕様。貼る際のズレを防ぐツールが付属し、貼り直しも簡単。汚れを拭き取るマイクロファイバークロスも同梱する。
4. コンパクトサイズで多彩な入出力に対応
ハイパー
「HyperDrive iPad Pro用 6-in-1 USB-C Hub」(9570円)
カードリーダーや映像出力端子を備えたマルチアダプター。SDとmicroSDスロット、USB3.0端子、USB-C端子、4K出力対応のHDMI端子、3.5mmオーディオジャックを小型サイズにまとめている。シルバーとホワイトの2色用意。
5. ワイヤレスで使えるコンパクトなMIDIキーボード
KORG
「microKEY Air-25」(実勢価格:7000円前後)
iPad ProとBluetoothで接続できる、25鍵のコンパクトなキーボード。USBケーブルでの接続にも対応。黒鍵と白鍵の比率を演奏しやすいよう調整し、和音が押さえやすく、速いフレーズの演奏もしやすい設計だ。
※2020年5月6日発売「GoodsPress」5.6月合併号掲載記事をもとに構成しています
取材・文/高橋智
- Original:https://www.goodspress.jp/features/298342/
- Source:&GP
- Author:&GP