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スマホのロック画面の表示は捜査に相当〜米裁判所で判断

iphone ロック画面
 
犯罪の捜査に際して、スマートフォンのロック画面の解除はよく議題に上ります。パスコードは知識としてみなされ黙秘権により守られるため、開示を強制されませんでしたが、指紋認証や顔認証は身体的特徴を使用するため、デバイスが捜査機関によって解除されてしまったなどといったケースが過去にありました。今回、ロック画面を表示することは捜査にあたるとの見解が米裁判所から出されたことで、今後令状なしで捜査機関が容疑者のスマホを触ることはできなくなる可能性が浮上しました。

令状なしでロック画面の表示はできないとの主張

米ワシントン州出身の男が2019年5月、いくつかの窃盗と傷害の容疑で起訴されました。起訴状によれば、ヨゼフ・サム容疑者は、Motorolaブランドのスマホを使用しており、逮捕時に警察官の一人が電源ボタンを押して、ロック画面を表示したとのことです。なお、警察官がデバイスのロックを解除しようとしたのか、容疑者に解除させようとしたのかは記されていません。
 
2020年2月、連邦捜査局(FBI)が容疑者のスマホの電源を入れ、ユーザーネーム「Streezy」を含むロック画面の写真を撮影しましたが、容疑者の弁護士はこの行為は令状なしで行われたため不当であるとして、証拠の差し押さえを要求しました。

FBIのロック画面の写真撮影は違憲行為

シアトルの地方裁判所で行われた裁判で、裁判官はスマホのロック画面の表示の合法性について判断を下しました。裁判官によれば、警察官が容疑者を逮捕する際、たまたまロック画面を表示してしまったり、私物調査の一環としてロック画面を表示するのは問題ないとのことです。
 
しかしながら、FBIによるロック画面の写真撮影は、令状なしで行った捜査としてみなされるため、「不合理な捜索および押収に対し、身体、家屋、書類および所有物の安全を保障されるという人民の権利は、これを侵してはならない」という合衆国憲法修正第4条に反しており、違憲であると裁判官は結論づけました。
 
政府側の弁護士たちは、ロック画面にプライバシーはないと主張しましたが、裁判官はここではプライバシーの有無は関係なく、憲法で守られた領域を物理的に侵食したことが問題であるとの見方を示しています。
 
 
Source:Ars Technica
Photo:Apple
(lexi)

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