ジンバブエの富豪であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシーワ)氏によって創業された、配車ベンチャーのVaya Africaは、電気自動車タクシーサービスとジンバブエ国内の充電ネットワークの運営を開始した。将来的には大陸全体に広げる計画だ。
南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフEVの一群を購入し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。
運用は今週ジンバブエで開始されるが、同時にVayaはオンデマンド電気タクシーとデリバリーサービスのためのパートナーシップを締結しようとしている。対象とする市場はケニア、ナイジェリア、南アフリカ、そしてザンビアなどである。
「ジンバブエは実際実験場です。私たちは、アフリカの様々な国でパイロットを行なう準備を進めています」とTechCrunchとの電話でジンバブエの首都ハラレから答えるのは、Vaya MobilityのCEOであるDorothy Zimuto(ドロシー・ジムト)氏だ。
Vayaはストライブ・マシーワ氏のEconet Groupの子会社だ、Econet Groupは他にも、南アフリカ最大の携帯電話会社の1つと、インターネットインフラストラクチャ企業である Liquid Telecomも傘下に抱えている。
マシーワ氏は、アフリカのビル・ゲイツ氏もしくはリチャード・ブランソン氏になぞらえられる人物となった、そして世界的には、オバマ元大統領やロックフェラー財団とのつながりや関係を持つ、ビジネスリーダーおよび慈善家として認められている。
Vaya EV製品でジムト氏と協力しているのは、Liquid Telecomのイノベーションパートナーシップの責任者であるOswald Jumira(オズワルド・ジュミラ)氏だ。
この動きは、アフリカのオンデマンドモビリティ市場が、ここ数年本格化していることを受けてのものだ。スタートアップ、投資家、そしてより大規模な配車事業者が人や物の移動にデジタル製品モデルをもたらそうと競い合っている。
エチオピアには、配車ベンチャーのローカル企業であるRide(ライド)とZayride(ザイライド)がある。Uber(ウーバー)は2015年からアフリカ大陸のいくつかの市場で活躍していて、競合他社のBolt(ボルト)と同様に、2018年にはアフリカ内でのオートバイタクシー事業に参入しした。
昨年大陸では、主に二輪車を中心に利用する配車やデリバリーに向けた、EV開発の動きが見られた。
2019年には、ナイジェリアのモビリティスタートアップの MAX.ngはヤマハの支援の下に700万ドル(約7億5400万円)のシリーズA資金調達を行ったが、その資金の一部は再生可能エネルギーを用いる電動二輪車の試験運用に使われた。
昨年ルワンダ政府は、EVスタートアップAmpersandと協力して、ガソリン式の二輪タクシーを電動式に徐々に移行する国家計画を策定した。
アフリカのタクシー市場に対して、電気自動車へのシフトが環境的なメリットを超えて持つアピール点は、長期的にメリットがあるユニットエコノミクスである。燃料のコストが大陸の大部分のドライバーたちにとって、個人の収入に比べて概して大きいという状況があるからだ。
「アフリカはエキサイトしています。なぜなら私たちは今やグリーン革命に乗っているからです。排出ガスなし、騒音なし、そして自動車のランニングコストという点での大幅な節約が可能なのです」とジムト氏は述べている。
彼女は、配車プラットフォームのドライバーたちの燃料およびメンテナンスコストが、40%削減できると見積もっている。
Econet Groupのオズワルド・ジュミラ氏によれば、現時点では、Vayaの最初の市場であるジンバブエの燃料価格は1リットルあたり約1.20ドル(約129円)であり、平均移送距離は22キロで運賃は19ドル(約2047円)である。
Vayaの充電ネットワークで日産リーフを使用した場合、移動距離150から200 kmで、チャージにかかるコストは約5ドル(約539円)となる。
「恩恵を受けるのはドライバーです。より多くの収入を得ることができます。そしてそれはまた、配車企業の手数料を引き下げて、乗客の皆さまに、より手軽な価格を提供することを可能にするのです」とジュミラ氏はTechCrunchに対して語った。
同社は、アフリカにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に対して事業を対応させた。ジムト氏によると、VayaはドライバーにPPE(個人用防護具)を提供し、車を1日4〜5回消毒する。
Vayaは、配達からオートバイやトゥクトゥクタクシーなどの、他のオンデマンド輸送アプリケーションに対するEVオプションも模索している。
アフリカにおける Uberとの競争問題については、Vayaは、EVプログラムによって提供される割引運賃を1つの利点として指摘している。
Vaya MobilityのCEOであるドロシー・ジムト氏も、地域の文化や好みを知っていることの利点を指摘している。
「私たちは『アフリカ語』を話します。それが私たちが理解している言語です。私たちは人びとが、市場全体で何を望んでいるかを理解しています。それが違いを生むのです」と彼女は言った。
アフリカ全域でUberのような他の配車サービス会社と真っ向勝負する際に、VayaのEV注力と地元の消費者に対する知識の多さが、より多くの乗客の流れと収益の創出につながるかどうかが注目される。
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(翻訳:sako)