米国6月3日の取引開始のベルが鳴った後、ビデオチャットサービスのZoom(ズーム)は第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比169%増の3億2820万ドル(約360億円)、3カ月の調整後利益は1株当たり0.20ドル(約21.8円)だった。
Yahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)によるアナリスト予想の平均値は、売上高が2億248万ドル(約220億円)、1株当たり利益が0.09ドル(約9.8円)。アーニングスコール(電話等による投資家向け決算説明会)前の現時点でZoomの株価は2.3%上昇している。投資家は予想外の好業績をすでに織り込んだようだ。
前四半期比では年換算ベースで78%の増加だった。同社の成長の加速には目を見張るものがある。
投資家は巨額の利益を期待していた。年初から決算発表前まで、人気のB2Bサービスを提供するZoomの株価は3倍以上になった。新型コロナウイルスの影響で在宅で働く人が増えたこともあり、同社は上昇気流に乗っている。Zoomのソフトウェアは、シンプルに動くビデオチャットソリューションを渇望する消費者がこぞって利用している。
これまで続いた株価上昇を同社が維持できるかどうか答えが出ていなかった(未訳記事)が、今回の決算発表が回答になった。
株価上昇
Zoomの2021年度第1四半期(2020年2月~4月)の成長により利益も著しい金額となった。未調整の利益指標である純利益は、前年同期の20万ドル(約2200万円)から直近3カ月は2700万ドル(約29億円)に増加した。
そして同社のキャッシュフローは驚異的だ。同社は以下のように決算について説明した。
当四半期の営業活動による純現金収支は2億5900万ドル(約280億円)だった。前年同期は2220万ドル(約24億円)だった。フリーキャッシュフローは、2020年度第1四半期の1530万ドル(約17億円)から当四半期は2億5170万ドル(約270億円)へと増加した。
この短期間でこれだけのキャッシュフローを財務からではなく主に事業から叩きk出した会社は他に思い当たらない。Zoomの顧客数も同様に急増した。当四半期末時点で従業員11名以上の顧客が26万5400件に上ったと報告した。前年同期比354%の増加だ。
Zoomが発表したニュースのすべてが良かったわけではない。実際、同社の売上総利益率は前年同期と比べて大幅に低下した。2020年会計年度の第1四半期の売上総利益率は約80%だったが、当四半期は約68%に下落した。同社は多くの無料ユーザーを有料の顧客にすることができたものの、依然として発生している製品の無料使用に伴うコストがここ数カ月で急増した。
今後の展望として、Zoomは進行中の四半期も再び記録的な期になると予想する。プレスリリースによると、2021年度第2四半期の売上高は4億9500万~5億ドル(約540~545億円)、2021年度通期の売上高は17億7500万~18億ドル(約1900~2000億円)を見込む。いずれも「ビジネス向けリモートワークソリューションの需要」と「会計年度後半に発生する解約増加」を考慮に入れた。顧客がオフィスに戻ることができれば、Zoomは不要になるかもしれない。
株価はすでに今回の決算を織り込み済みかもしれないが、数字自体が単純にとてつもなく大きい。3カ月前のZoomの売上高はわずか1億8830万ドル(約210億円)だった。その次の3カ月のフリーキャッシュフローより小かったわけだ。
画像クレジット:Kena Betancur / Stringer / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)