ショールームに展示されているのは、主に大型の業務用製品。これまでは、実際に導入されるまで見ることができなかった工場などに組み込むシステムも体験することができます。
「日本は少子高齢化などの面で課題先進国と言われています。工場や現場でも人手不足、高齢化の影響は大きく、いかに簡単、短時間で清掃できるかを、製品単体から周辺部も含めたシステムの提案をしております。その中で、より細かなお客様のニーズに対応するために開設したのがこちらのショールームです」(インダストリアルショールーム横浜インダストリアルキーアカウント リーダー・白石泰久さん)
業務用製品、システムと言ってもイメージがわきにくいので、さっそくショールーム内を見ていきましょう。
用途ごとにアタッチメントが交換できる多目的作業車
入り口の近くに展示されているのは、シティキャリア(多目的作業車)『MIC 42』。アタッチメントを交換することで、道路清掃をはじめ、除草、除雪など様々な用途で使用できる小型特殊車両です。これまでもケルヒャーはスイーパーと呼ばれる道路清掃車を販売してきましたが、カスタマイズできるところが異なります。
たとえば積雪量が多くなく、除雪の専用車両を備えるほどではない地域でも、普段は清掃や除草に使用し、いざ大雪というときは除雪に活躍するわけです。1台で済ませることで管理の手間やコストも削減できます。
動力はヤンマー製のコモンレール式ディーゼルエンジン。四輪駆動で最高時速は15km。時速は小型特殊車両の制限によるもので、公道を走らない施設内専用であれば時速25kmまでカスタマイズ可能だそうです。
ディーゼルからEVまである搭乗式スイーパー
こちらは、路面の掃除をする産業用スイーパー。ブラシで掃き込んだゴミを本体内のダストコンテナに収集します。深夜の国道で見かける、道路清掃車の小型版ですね。粉塵が多く発生する建設系の工場・現場などで活躍。サイズの大小はもちろん、動力もガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、バッテリーと様々なタイプが用意されています。
コンクリートをも切断できる超高圧洗浄機
トラックのエンジンルームのように見えますが、こちらは建設現場や解体現場などで用いられる移動式の超高圧洗浄機。ケルヒャーには様々なタイプの超高圧洗浄機が用意され、そのパワーは一般的な家庭用高圧洗浄機の数百倍にもなる製品もあります。塗料を剥がしたり、コンクリートを破壊したりできるほどのパワーだそう。
ノズルが回転してタンク内を洗浄
タンクローリーや、工場などに設置されている大型タンクは、その容量に比べて入り口の穴が小さく、「どうやって内部を洗っているんだろう?」と疑問に思ったことはないでしょうか。それを解決するのが、回転するノズルを備える「タンククリーニングシステム」です。
手裏剣のような形状のノズルをタンクに入れて高圧洗浄機と接続すると、水の勢いで360度ノズルが回転して自動で洗浄します。こちらのショールームでは、カットモデルでノズルの動きや洗浄の様子も確認できます。
このシステムは、タンクの形状や容量、排出容量、付着する汚れの種類、洗浄剤の使用などによってフルカスタムされます。たとえば、穴がひとつで横に長いタンクの場合は、中で横に広がって複数のノズルが展開するハンガー式のノズルで対応します。ケルヒャーはタンククリーニングシステムでも40年以上の歴史があるそうです。
工場内のゴミを一か所に集めるセントラルバキュームシステム
当たり前ですが、工場では製造過程において大量のゴミが発生します。昔であればホウキとチリトリで、近年は掃除機で吸い取っていましたが、これらの方法はかなり効率が悪い。衛生状態を保つのが大変ですし、それにかかる時間はコストとなるので生産性が下がってしまいます。
それを解決するのが、こちらの「セントラルバキュームシステム」。分かりやすく言えば、巨大な掃除機を設置し、その配管を工場中に巡らせるシステムで、食品、製鉄、自動車など様々な工場で採用されています。システムとして集約することで、工場内全体の衛生レベルを向上させられますし、個々の掃除機に溜まったゴミを集める手間もなくなります。
ショールームに設置されたシステムは稼働するので、お客さんの現場で出る廃棄物を持ってきて実際にテストが行えます。最近はコロナの影響で来場できない状況もあり、送ってもらったものを動画で撮影して確認してもらうこともあったといいます。
準備の手間なしで使えるセントラル洗浄システム
近年、衛生レベルの向上が求められている食品工場で採用されているのが、「セントラル洗浄システム」です。食品工場では、トラックなどの出入りする「汚染区域」、調理・加工が行われる「準清潔区域」、充填・包装する「清潔区域」など汚染レベルごとにゾーニングされています。よって、高圧洗浄機もエリアを跨いだ移動はできず、かといって全てのエリアに機器を設置することもスペース的に難しい。また、温水を用いる高圧洗浄機では灯油を使用するため、食品工場ではニオイの問題もあります。
配管を巡らせることによって高圧洗浄の機能をあらゆる場所で使用できるようにした、セントラル洗浄システムでは、これらの問題を解決できます。それぞれの洗浄ポイントにはホースとガンだけがあればいいので、狭い部屋でも設置が可能。従来の高圧洗浄機のように準備や後片付けの手間も不要です。
工場内の規模や汚れの度合いによっても求められるスペックが違うので、ケルヒャーには水量・水圧・同時洗浄可能箇所が異なる複数の機種があります。
テストルームで業務用高圧洗浄機のパワーを体験
施設内には、高圧洗浄機のテストルームも設けられています。建物内なので近隣への騒音などなく試すことができます。今回動かしてもらったのは、温水高圧洗浄機。そのパワーは家庭用とは段違い。素人なので、「ああ、これがあれば洗車とか一瞬で終わるな」ぐらいの感想しかないのですが(笑)。
コロナでスチームクリーナーの売り上げ増!
ここまで読まれて(というか写真を見て)、鋭い方は気づかれたかもしれません。ケルヒャーなのに業務用製品は黄色くないことに……。
数年前から、業務用製品の色はグレーに変更したそうです。変更の理由は、黄色は汚れが目立ってしまうから。使用環境が家庭用に比べてはるかにハードですから。それに加えて、家庭用と色を分けることで、業務用を導入してもらえるよう意識してもらいやすくなります。
グレーになった業務用製品ですが、アクセントとして黄色は残っています。スイッチやダイヤル、ハンドルなど、人が触る部分は黄色が使われており、操作方法がわかりやすくなっている。世界中で使用されるケルヒャー製品は、一目で使用方法が理解できるように作られており、業務用であっても、ほぼ説明書いらずで使用できるそうです。
ちなみに、新型コロナウイルスの影響でケルヒャー製品の売上げは伸びたとか。
「約100℃の高温スチームの力で汚れを浮かせて落とすスチームクリーナーは、家庭用・業務用ともに売上げが好調。とくにオンラインでの注文が非常に伸びています。除菌のニーズに加えて、家にいることで掃除する人が増えたのが理由だと思われます」(ケルヒャージャパン株式会社マーケティング部・舘澤晋典さん)
除菌&在宅とダブルのニーズが発生。断捨離でメルカリの出品も増えたと聞きますし、人は家にいて時間ができると掃除をする生物のようです。いずれにせよ、アフターコロナ、ウィズコロナの時代、ますますケルヒャー製品の必要性が高まるのは間違いないでしょう。
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000124489/
- Source:デジモノステーション
- Author:小口覺