Instacart(インスタカート)は米国時間6月5日、増加するショッパー(編集部注:顧客に買い物品を届ける人のこと)を「チップ釣り」から守るために、チップに関するポリシーを変更すると発表した。チップ釣りとは、顧客が多めのチップでショッパーを引きつけ、グローサリーを受け取った後にチップをゼロにするという酷い手法だ。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで人々が買い物に行けなくなってInstacartの需要が急増したのにともない、このチップ釣りが出てきた。
Instacartは、チップ釣りは稀で配達後のチップ削除はオーダー全体の0.5%に満たない、という。また、新型コロナパンデミックが始まってから、ショッパーへのチップの総額は倍増したとしている。しかしポリシーの変更は、同社のショッパーの待遇改善を示している。外出禁止令で人々が家にこもりグローサリーストアーに行かない間、ショッパーたちは重要な存在だった。
Instacartは現在、配達後にチップを削除する顧客にフィードバックを求めている。頻繁にチップを削除する顧客を利用不可にする、ともしている。加えて、チップ額を変更できる期間を3日から24時間に短縮する、と述べた。
チップ額を変更できる期間の短縮は、ショッパーが最終的なチップを待たなければならない時間を短くすることになる。
チップに関する変更に加え、Instacartは2019年に導入したキャッシュアウト機能をアップデートする。すぐにお金を必要としているショッパーのために、配達を完了した24時間後にチップを引き出せるようにする。同社はまた、Visaカードを使用しているショッパー向けに2020年7月末までキャッシュアウトの手数料を免除する。キャッシュアウト機能はカナダでも使えるようになる。
こうした措置の背景には、Instacartのショッパーたちが不満を募らせていることがある。同社は新型コロナパンデミックと外出禁止令による需要増大を受けて、ショッパーの数を250%近く増やす計画を発表した。そうしたアグレッシブな採用が火に油を注ぎ、アプリのバグやチップ釣り、感染を予防するためのキット配布の欠如など根本的な問題をInstacartは解決していない、と一部のショッパーは指摘する。
2020年3月に、ショッパーは待遇改善を求めてストライキを実行した。その中で、デフォルトのチップ割合を10%に戻すよう要求した。今回のポリシー変更にはチップ割合に関するものは含まれていない。デフォルトのチップ割合は5%だ。
新型コロナ禍において、ギグワーカーは必要不可欠な業務の担い手だ。Instacartがショッパーをそうした存在として扱おうとポリシーを変更するまでにかなり時間がかかった。
画像クレジット:Instacart
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(翻訳:Mizoguchi)