eMarketer(eマーケッター)が米国時間6月8日に発表した見通しによると、米国における2020年のeコマース売上高は、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの影響で18%成長する。しかしオンライン注文の増加があっても米国の小売全体が今年受ける打撃すべてを補えない、と指摘している。自動車や燃料も含めた米国の全小売の売上高は2020年に10.5%減の4兆8940億ドル(約530兆円)になるとアナリストは予測している。2016年以来の低水準だ。
この減少幅は、2009年の景気後退時の8.2%減よりも大きい。
「米国においてここ10年で最も大きな消費支出減だ」とeMarketerのシニア予測アナリストであるCindy Liu(シンディ・リュー)氏はレポートの中で述べた。「3月に人々は外出を控えるようになり、わずか数週間で小売の売上は激減した。第2四半期の売上高は2020年最少を記録し、消費者の行動が通常レベルに戻るのに数年かかるだろう」と予測した。
実際レポートでは、小売の売上は2022年までパンデミック前(2019年レベル)の水準に戻らないと予測している。
一方のeコマースは実在店舗の落ち込みを相殺できるほどに強くはない。落ち込みの深刻さを和らげる程度だ。2020年にeコマースの売上は18%増の7097億8000万ドル(約76兆円)となる見込みで、これは米国の全小売の14.5%を占める。
レポートでは、多くの店舗が再開しているにもかかわらず小売全体の売上が少ないままである理由を掘り下げていない。しかし明らかにこの理由の1つとして、新型コロナが引き金となった景気後退の影響が挙げられるだろう。失業や不安定な雇用は、いずれも消費者の支出抑制につながる。加えて、多くの消費者が実在店舗を避け続けていて、必要なものだけをオンラインで注文している。また消費者の多くがテレワークを続けてる中で、アパレルやアクセサリーの販売は大きな打撃を受けている。
アパレルとアクセサリーの部門は通常、eコマースで2番目に大きい。しかし消費者が必要不可欠ではないものの購入を控え、成長は8.6%にとどまる見込みだ。
一方、食品や飲料、ヘルス、ビューティー、パーソナルケアなどを含む他のeコマースの部門は大きな伸びが予想される。食品や飲料が58.5%増、ヘルス、ビューティー、パーソナルケアは32.4%増となる見込みだ。
オンライングローサリーへのシフトは、特にWalmart(ウォルマート)で顕著だ。同社は常々、オンライングローサリーがeコマース全体の売上の成長に寄与しているとしている。eMarketerのレポートではまた、Walmartが初めてeBay(eベイ)を追い抜いて米国のeコマース小売としてはAmazon(アマゾン)に続く2位の座を獲得しそうだ、と指摘している。Walmartのeコマース売上高は2020年に35%超伸びると予想され、これは米国のeコマース市場の5.8%を占める。
Target(ターゲット)、Best Buy(ベストバイ)、Home Depot(ホームデポ)、Costco(コストコ)も売上増が見込まれている。
画像クレジット: Sari Montag / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.
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(翻訳:Mizoguchi)