子供を持ちながら働く保護者の多くは、子供の教育にもっと関わりたいと思っている。ClassTagの創業者兼CEOのVlada Lotkina(ヴラダ・ロトキナ)氏も、自分の娘の幼稚園についてそう思っていた。今度の遠足のプリントがリュックの中でぐしゃぐしゃになっていて、保護者と先生のコミュニケーションがスマートなテクノロジーになればいいのにと願ったことを、彼女は思い出す。
ロトキナ氏は幼稚園の他の保護者も同じようなストレスを抱えていることを知った。そこで同氏は、保護者仲間であるJason Olim(ジェイソン・オリム)氏とともに、60以上の言語に対応した保護者と教員のコミュニケーションプラットフォームであるClassTagを始めた。
米国時間6月8日、ClassTagは500万ドル(約5億4000万円)のシード資金を調達したと発表した。参加した投資家はAlleyCorp、Contour Ventures、Founder Collective、John Martinson、Newark Venture Partners、Smart Hub、TMT Investmentsだ。同社のプラットフォームは米国内で2万5000校、200万ユーザーに成長しているという。
ClassTagのエンドユーザーは、保護者と教員だ。保護者はClassTagで行事、校外学習、募金活動などの情報を知ることができる。教員はClassTagを使って、簡単に保護者と関わり、保護者会の日程を決め、リソースを共有できる。さらに教員は保護者のダッシュボードを見て、深く関与しているのはどの家庭か、連絡や注意が必要なのはどの家庭かを知ることもできる。
ClassTagでは、保護者はメール、SMS、アプリ、ウェブ、さらに完全にオフラインなら紙と好きな手段でコミュニケーションをとれる。アプリをダウンロードする必要はない。お知らせやメッセージは自動で多くの言語に翻訳される。
ClassTagは、教育や家族向けの企業広告で収益化している。一般に広告で収益を上げているEdTechのプラットフォームは保護者から懸念を持たれがちだが、ClassTagは子ども向けのプラットフォームではないため、この点は問題になりにくい。同社は個人を特定できる情報は広告主とは一切共有しないが、特定の学年や郵便番号に属するユーザーの数といった統計情報は共有するとしている。
また、ClassTagの収益の一部は学校の備品のために寄付される。同社はこの関係性を「ブランドが広告主ではなくスポンサーになる」と表現している。
ClassTagには社会経済的な階層や仕事のスケジュールにかかわらず、すべての保護者に利用してもらうという目標があるため、プラットフォームのシンプルさがストレステストで試されている。デジタルディバイドはいくらか解消してきたとはいうものの(Pew Research Center記事)、社会経済的に恵まれない家庭では携帯電話以外の手段でデジタルを利用するのが難しい場合がある。したがって時給ベースの仕事をしている保護者は、メールよりもテキストメッセージの方が連絡を取りやすいかもしれない。
学校のコミュニケーションをデジタル化しようとしているプラットフォームとしてもうひとつClassDojoがある。これは子供、教員、保護者のためのコミュニケーションプラットフォームだ。ClassDojoは米国の95%の学校で使われている。
ロトキナ氏は、ClassDojoは主に子供の行動を扱っていると語る。例えば、ClassDojoでは教員が子供にポイントを付けて行動について保護者に注意を促すことができ、教室での関わり合いと管理を主眼としている。これに対してClassTagは、情報を知らせることに重点を置いている。
ウクライナ出身のロトキナ氏は、17歳の時からスタートアップの世界で活動し始めた。ウクライナのデザイナーを売り込みながら西ヨーロッパを回った。その後、ペンシルベニア大学のビジネススクールであるウォートン・スクールを志望して合格し、米国へ移った。銀行が利益を出す前に投資家のリスクがあるため、ウクライナよりも米国の方が起業しやすいと同氏は語る。
Mediumの記事の中でロトキナ氏は「しかも、ウクライナをはじめとする多くの国には、汚職や規制の圧力が明らかにたくさんある。残念ながら、真の問題を解決する影響力のある企業を起こすことは、ウクライナのような国では難しい」と述べている。
200万人のユーザーを得てから500万ドル(約5億4000万円)の資金を新たに調達したロトキナ氏の選択は、今のところ順調だ。
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
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(翻訳:Kaori Koyama)