米国6月4日に上場した米国アリゾナ拠点のスタートアップNikola Motor Company(ニコラ・モーター・カンパニー)は、水素燃料電池を搭載する電動ピックアップトラックの予約受付を今月下旬に開始する。このトラックはFord(フォード)のF-150と競合するものだ。
「水素燃料電池搭載ピックアップトラック「Badger」の予約(またはプレオーダー)は6月29日から受け付ける」とNikola Motor創業者で会長のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)氏が米国6月9日にツイートした。
同社は当初、水素を活用したクラス8(大型)電気トラックのデザイン・開発・生産と、北米中に水素ステーションインフラを構築することに注力していた。2014年の創業以来、同社は水素を活用した電動のビジョンをパワースポーツに、最近ではピックアップトラックに広げてきた。同社は今年2月に、バッテリー電動式と燃料電池式のピックアップトラックBadgerを用意すると初めて詳細を明らかにした。
Nikola Motorはまだ製品を1つも展開していない。工場すらまだない。同社はアリゾナ州クーリッジに工場を準備中だ。整地され、建物の建設が年内に始まる、とミルトン氏はTechCrunchとの最近のインタビューで述べ、今夏にも始まることを期待しているとも付け加えた。
大胆なビジョンを持つもののプロダクトがまだなく、ましてや売上などないにもかかわらず、Nikola Motorの時価総額は9日の市場終値では286億3000万ドル(約3兆円)だった。Nikolaの時価総額は同日、一時フォードを超えた。
NikolaはVectoIQとの逆さ合併を通じて上場会社になった。VectoIQはGM(ゼネラルモーターズ)の前副会長、Stephen Girsky(ステファン・ガースキー)氏が率いる、上場している特別買収目的会社だ。6月4日のデビュー以来、同社の株価は急上昇し、上場時の37.55ドル(約4025円)より112%超高い価格で取引され、9日は79.73ドル(約8540円)でひけた。
狙いを定めているのはフォードとテスラ
「我々はフォードのF-150のマーケットを追いかける。TeslaのCybertruckも競合相手になる」とミルトン氏はTechCrunchに語った。同氏はまた、同様に電動ピックアップトラックを計画しているRivian(リビアン)とは競合しないとも述べた。
「RivianはトヨタのTacomaのように小型トラックで、建設業界において、あるいはフォードF-150、自営業や建設業にフォーカスしている大型のピックアップトラックマーケットとは競合しない。どちらかというとRivianはアウトドアでのレクレーション活動に使われる消費者モデルだ」
Nikola Motorによると、Badgerは航続距離600マイル(965km)、906馬力・980lbft(1329Nm)など、目が飛び出るほどのスペックだ。バッテリー駆動の電動バージョンはフル充電で300マイル(約482km)走行し、燃料電池を搭載してアップグレードすれば距離を倍に伸ばすことができる。2022年に生産が始まる見込みだ。
ただ、ミルトン氏によるとNikolaは自前でBadgerを生産しない。OEM企業と提携する計画で、今年後半に相手企業が明らかにされる予定だ。
画像クレジット: Nikola Motor
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(翻訳:Mizoguchi)