Amazon(アマゾン)はその意外なブログ記事で、同社の顔認識技術を向こう1年間警察に提供しないと発表したが、それがFBIなど国レベルの法執行機関にも適用されるのかについては口をつぐんでいる。
この一時停止措置の2日前にはIBMが書簡で「顔認識技術の市場から全面的に撤退する」と発表した。その中でIBMのCEOであるArvind Krishna(アービンド・クリシュナ)氏は、先月ミネアポリスで白人警察官がGeorge Floyd(ジョージ。フロイド)氏を殺害した事件に触れ、「正義と人種間の平等」に言及した。
アマゾンの声明はわずか102語と短く、一時停止の理由も述べていないが、議会が顔認識技術の利用を統制するより強力な規制に取り組んでいる「ようだ」という注記がある。しかしこの件についても、詳細はない。それは、今審議中のJustice in Policing Act(警察の正義法)へ法案の反応のようでもあり、これが成立すれば警察による顔認識技術の利用が制限されることになる。
アマゾンの無署名ブログ記事には「この1年間の一時停止が、議会が適切な規則を実装するための十分な時間を与えることを期待し、また私たちも、望まれれば協力したい」と書かれている。
しかし声明は、一時停止が連邦政府にも適用されるのかについては何も言及していない。同社の顔認識技術がもっとも酷評されたのは、連邦政府レベルでの利用だった。さらに声明は、1年という期間が終わったあとどうするのかについても触れていない。
同社は、自社開発の顔認識技術であるRekognitionを、移民・関税執行局など連邦政府の省庁に販売してき(The Verge記事)ことで知られている。昨年、アマゾンのクラウド部門のトップであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は「アマゾンはRekognitionを『いかなる』連邦省庁にも提供する」とインタビュー内で述べている(Rreuters記事)。
アマゾンのスポークスパーソンであるKristin Brown(クリスティン・ブラウン)氏はコメントを断り、一時停止が連邦の法執行機関に適用されるのかについても無言だった。
警察に顔認識技術を提供している企業は何十社もあるが、アマゾンはその中でも圧倒的に最大だ。同社の顔スキャン技術であるRekognitionは有色人種に対する偏向を示したため、最も注目を浴び、話題にもなった。
2018年にACLU(米自由人権協会)は、「28名の国会議員をRekogintionが顔写真データベースに載っている犯罪者と判定した」と報告(Medium記事)した。アマゾンは、ACLUが顔認識システムの信頼度閾値を下げたためだと反論したが、その1年後にマサチューセッツ州のACLUは「Rekognitionがニューイングランドのプロのアスリート27名を顔写真データベースの犯罪者とマッチさせた」と発表した。ACLUによると、どちらのテストでもミスマッチの大半が黒人だった。
1年前のアマゾンの株主総会では投資家が、同社が顔認識技術を政府機関や法執行機関に売ることを禁ずる提議を行った。しかし票決ではアマゾンが大差で勝った。
ACLUは、同団体が「市民の権利と自由に対する脅威」と呼んでいるRekognitionのアマゾンによる販売休止に賛意を表したが、同社やそのほかの企業に、一時休止以上の前向きな態度を求めた。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)