ワーナーメディアが最近立ち上げたストリーミングサービスHBO Max(未訳記事)は、Turner Classic MoviesやCriterion Collectionの懐かしの名画があることがセールスポイント(未訳記事)。しかし、現代のストリーミングサービスで提供してもいい作品を選び、またその見せ方を工夫することは容易ではない。
その典型的な例が「風と共に去りぬ」だ。映画の全歴史における偉大なる、そして人気最大の作品と見なされている一方で、奴隷制をいかにも楽しそうに表現していたり、南北戦争以前の南部を賛美したりしている。
「George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死が引き起した最近の抗議活動と、人種差別をめぐる広範な議論があるという現状においては、HBO Maxはその映画を取り去るべきである」と、黒人男性の奴隷体験の実話を基にした映画「それでも夜は明ける」の脚本家であるJohn Ridley(ジョン・リドリー)氏は論評に書いている(Los Angeles Times記事)。
リドリー氏は「映画は歴史のスナップ写真に過ぎないことが多い」し、「良心的な意図に基づく作品でも周縁的(非主流的)コミュニティの描き方が正しくないことがありえる」と認めている。しかしそれでも彼は「『風と共に去りぬ』には、この映画にしかない独自の問題がある」と示唆し、「それは、奴隷制の恐怖を無視していないというよりも、それらに対し単純に目をつむり、有色人種のもっとも痛ましいステレオタイプを映画として永劫不滅にしているだけである」と主張する。
HBO Maxはいまやこの映画を取り去り、「人種差別的描写は当時は間違っていたし、現在でも間違っている」と声明で述べている。
ただしその声明によると、削除は一時的である。同社によると「これらの描写は確かにワーナーメディアの価値観に反している。従って映画をHBO Maxに戻すときには、その歴史的内容に関する説明を付け、まさしくそれらの描写を非難するが、映画本体には手を加えない。なぜならば、部分的な再編集や改作をしたら、これらの偏見が存在しなかったと主張することになるからである」。
HBO Maxは、このような問題に遭遇した最初のストリーミングサービスではない。Disney+は、家族や子ども向けの作品が多いので、もっと細かい作業が必要と思われるが、「ダンボ」などの作品では「古い時代の文化を描写」という注記を付けている。また、人種差別で悪名高い「南部の唄」は、前のCEOのBob Iger(ボブ・アイガー)氏も「いまの世界にはふさわしくない」と発言(Deadline記事)し、このサービスには含まれないことになった。
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画像クレジット: WarnerMedia
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)