毎年6月前になると、中国政府が天安門事件を記念する動きにつながる情報へのアクセスを取り締まるため、中国のコンテンツやメディアのプラットフォームは新な検閲を懸念する。
2020年、中国のユーザーは2つのポッドキャストアプリが使えなくなった。Pocket CastsとCastro Podcastsだ。この記事執筆時点で、Apple(アップル)の中国App Storeで検索してもどちらも出てこない。
2018年に米国の大衆ラジオ企業グループに買収されたPocket Casts(未訳記事)は、中国のインターネット監視当局である「国家インターネット情報弁公室(CAC)からの要求に基づき、アップルが中国App Storeから削除した」とツイート(未訳記事)した。
Pocket Castsが説明を求めると、アップルのアプリレビューチームはCACに直接連絡するよう案内した。TechCrunchが確認したメールにそう書かれていた。
「我々にはアプリ削除を阻止する手立てはなく、唯一の解決策はアプリの復活だが、詳細を求めてCACにコンタクトを取るつもりだ。問題視され、そして中国App Storeから完全に削除されるまでの間、ほとんど警告が与えられていないというのは問題だ」とPocket Castsの広報担当はTechCrunchに語った。「我々に削除させたかったものは特定のポッドキャストと、我々が投稿した一部のBlack Lives Matterコンテンツかもしれないと想像している」。
2018年にDribbble(未訳記事)のオーナーTinyに買収されたCastro Podcasts(9to5Mac記事)は、中国での削除について説明はないが、「抗議者のサポート」が削除につながったのかもしれない、とツイートで述べた。
アップルにコメントを求めようとしたが、すぐには連絡がつかなかった。
2つのポッドキャストアプリの削除は、2019年のこの時期にあったアップルによる中国語ポッドキャスト締め付け(未訳記事)を思い出させる。中国の独立した多くのポッドキャストクリエイターにとって、表現の自由の終焉の始まりだった。国内のポッドキャストプラットフォームが自己検閲するという政府のルールに則っている一方で、Apple Podcastのような中国外のプラットフォームには締め付けがある。
サービスを主催するというより、RSSフィードとして機能するアップルのアプリは、オーディオコンテンツに対しどちらかというとハンズオフアプローチを取っている(未訳記事)ために当局をイラつかせてきた。公開するためにコンテンツすべてをチェックしている中国における同様のサービスとは対照的な点だ。アップルはコンテンツを配信するだけだが、中国のポッドキャスト企業であるJustPodのブログ投稿にあるように、アップルが競合する中国企業は、同国の規制と何年もの商業開発の結果、コンテンツホストとコンテンツ配信、ユーザーリスニングを組み合わせている。
中国では、海外のポッドキャストのほとんどがアップルで利用できない。コンテンツを精査する政府認証のホスティングパートナーを欠いた中国番組をアップルが淘汰し始めたとき、多くの人が法を遵守する動きと見せかけている検閲をアップルが肯定したととらえた。
同社の株主たちは抗議し、同社が検閲に関する中国政府の要求にいかに対応しているか、より透明性を確保しなければならないという提案(Appleリリース)に40%が賛同した(Financial Time記事)。
Pocket CastsとCastro Podcastsは検閲がなく、2019年の粛清以来、多くの中国のポッドキャストクリエイターが利用してきた。Pocket Castsは、中国が世界で7番目の急成長中のマーケットになっていると述べた。しかしこれらの選択肢はもうない。
最近の動きは、アップルがマーケットに残るために中国政府の圧力に屈しつつあるのかもしれない、ということをうかがわせる。2020年2月に同社は大ヒットとなったシミュレーションゲームのPlagueを削除した。「CACが定めた中国では違法となるコンテンツ」が含まれていた、とされた。また2017年にアップルは、中国本土のユーザーがウェブサイトにアクセスするのに使う何百ものVPN(仮想プライベートネットワーク)を削除した際(未訳記事)にかなりの議論を巻き起こした。
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(翻訳:Mizoguchi)