量子のもつれを利用した暗号通信技術、量子暗号通信は、理論上ハッキング不可能とされていて実用化が期待されている。
2017年には中国科学技術大学の研究者らが、地上の拠点間約1200kmで、衛星を中継した量子鍵配送を達成した。このほど、同じ研究グループが約1120kmの拠点間で、量子鍵配送の効率を4倍に高めたとの研究結果が発表されている。これにより量子暗号通信は、実用に一歩近づく可能性がある。
Micius衛星を利用した量子鍵配送
量子物理学では「もつれ」の現象により、距離がどれだけ離れているかに関わらず、2つ以上の粒子が連動した動きをすることが知られている。
量子暗号には光子のもつれを利用した方式があり、量子鍵を配送してペアの動きを追跡することで、たとえ秘密鍵が盗まれたとしても、検出して破棄することが可能だ。
研究チームは、地上回線を利用した技術で最大約144kmだった量子鍵配送の距離を、Miciusと呼ばれる衛星を利用して大幅に延長。そして今回、秘密鍵の共有効率を高めている。
毎秒約0.12ビットで秘密鍵を収集
Micius衛星から、中国のDelinghaとNanshanにある地上観測所に向けて量子鍵を配送。今回、レンズやその他の光学装置の改善で、秘密鍵の収集能力の向上に焦点を当てた。
以前は毎秒590万の光子ペアを生成し、そのうち1つの秘密鍵収集にとどまっていたが、今回は毎秒約0.12ビットでの収集が可能になったとのこと。
量子のもつれ光源の明るさを高めることでさらに秘密鍵の共有効率が高まり、数年後にはセキュリティリスクのない通信が実現するかもしれない。
参照元:Entanglement-based secure quantum cryptography over 1,120 kilometres/ Nature
- Original:https://techable.jp/archives/128533
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji