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中国のGPS代替システム「北斗」が最後の測位衛星を打ち上げ

数十年にわたり米国は位置情報、ナビゲーション、時間測定などで独占的地位を維持してきた。軍が運用する通信衛星群を利用した全地球測位システム(GPS)は、全世界で数十億台のデバイスに位置情報を提供する基幹システムである。

このテクノロジーが軍事目的だけでなく、近代経済の根幹をなすようになるにつれ、世界中の政府が米国中心システムから脱皮する方法を探ってきた。ロシア、日本、インド、英国、EUのいずれもが、GPSの代替手段の開発に手を染め、カバー範囲を広げるために追加の衛星を打ち上げてGPSシステムを強化しようとしている。

しかし、GPS代替システムとしてBeidou(ベイドゥ、北斗)ほどの投資をした国は中国以外にまずいない。過去20年間に同国は数十億ドルを費やし、30基近い衛星を打ち上げてまったく新しい位置情報システムを作ろうとしてきた。中国国営メディアによると、中国の端末の70%近くがBeidou衛星からの信号を処理できるという。

そしてパズルの最後のピース、Beidou星座最後の衛星が6月23日午前、軌道に向けて打ち上げられたことをPeople’s Daily(人民日報)が伝えた。

これは,市場参入や人権に対する考えの相違を巡って関係の悪化している米国、中国に続いている数々の分離の一環に過ぎない。2国間の貿易交渉は行き詰まり、トランプ政権の上級顧問の1人は全面中止を主張(NewYork Times記事)している。H-1Bビサの新規発給一時停止の発表もそのひとつで、米国移民局(USCIS)によると中国はH-1Bビザ申請数世界第2位である。

Beidouの現行計画の完了は、この基幹技術の新たな柔軟性と回復力を中国政府にもたらすが、究極的測位テクノロジーというのは本来敵対関係を生むものではない。衛星が増えれば全ユーザーにとって冗長度が上がり、この種の技術の多くは相互に協力することで端末メーカーの柔軟性を高める可能性を持っている。

とはいえ、GPSのなりすましや測位技術のハッキング全般が深刻な脅威(MIT Technology Review記事)であることに変わりはない。今年トランプ政権は、GPS信号をハッキングから守るためのより強固なツールの開発を政府機関に強制する大統領令を発出した。

世界の物流と日々の我々の生活がどれほどこの技術に支配されているかを踏まえると、この最重要な資産を守るために国際協力を強化する必要がある。中国が完全に稼働するシステムを手に入れた今、米国がGPSと測位システムをさらに広く提供し最大限の信頼性を追求するのと同じくらい、中国には自らの基盤を保護する動機がある。

画像クレジット:STR / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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